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観劇:「少年H」~関西芸術座公演

2006-07-25-Tue
観劇の市民サークルに入っています。今回の例会は「少年H」。妹尾河童(せおかっぱ)の同名長編小説の舞台化です。
少年H〈上巻〉
少年H〈上巻〉
posted with amazlet on 06.07.25
妹尾 河童
講談社 (1999/06)
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4 まあ読みやすいよね。
5 両親の時代を追体験
5 読むべし。

わたしはこれ読んでません。妹尾河童の自伝的小説ということもあり、かなり好評で大ベストセラーです。内容的には太平洋戦争とその時代を、純粋な少年H--イニシャル(名前ははじめ・肇)であるHのついたセーターを着ていたのでこう呼ばれていた--の眼を通して描きます。太平洋戦争の時代に十代を過ごした少年とその家族、友人たちの物語ですね。毎日出版文化賞特別賞を受賞したようです。あんまり売れたんで、便乗本というか、こんな関連書籍も出たくらいです。
間違いだらけの少年H―銃後生活史の研究と手引き
山中 恒 山中 典子
辺境社 (1999/05)
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5 詳細な考証

わたしはどちらも読んでません。すみません。 この関西芸術座の「少年H」は、その内容をそのまんま舞台にしました。スタートは空襲で神戸の町が焼かれ、少年Hと母が、濡れた布団を頭からかぶって、燃え落ちる神戸の町の中を逃げるというシーンから始まります。

その避難の結末を描かぬうちに、舞台は5年前にさかのぼり、少年H(肇)と妹のよし子、そして自宅でテーラーを営む父という家庭の様子に突入します。前半は、迫り来る戦争の波中でも、子どもらしくすくすくと育つHや妹、そして、愛情あふれる幸福な家族が描かれています。物は今ほどなく、また、不便なことも多かったろうに、テレビもゲームも、パソコンもネットも、マンガもないのに、このころの子ども達はのびのびと健やかに生きてたんだなとしみじみ感じさせます。

ところが幕間を挟んだ後半は、戦争がすすみ、戦況の悪化、生活の悪化が進んでいきます。少年Hも神戸二中(旧制ですので、年齢的には今の高校くらいには該当します)に進学します。しかし、絵を学びたいというような、少年Hの進路希望は、時節柄かなえられそうにありません。それどころか、学校生活は実質軍事教練が多くなったり、学童奉仕が多くなったり、やがて本土の空襲が始まると、学童疎開が始まったりして、戦争の暗い影がいたるところに落ちてきます。

そして、冒頭の空襲のシーンにつながり、結末へと向かうわけですね。

20060725222904.jpg


なんでしょうか、不毛な戦争の時代、不自由な戦争の時代に、少年がどう、自分の感性を大切に生きたのかってことが描かれているのでしょうね。この舞台を見ていて、痛切に感じたのは、どうして戦争になったのか? とか、誰の責任なのか? なんてことではなくて、日本はもっと早く降伏できなかったのか?ってことです。靖国神社参拝の問題が、中国や韓国との関係でしきりに取りざたされています。A級戦犯という「戦争犯罪人」が合祀されているのが問題だといわれていますし、昭和天皇がその合祀について不快に感じていたようだというメモも、最近公開されました。開戦責任みたいなものもあるんでしょうが、もっと早く見切りをつけて降伏しなかった責任ってのもあるんじゃないのかなって思うんですね。戦争って、あんなふうに、普通の民家や都市を空爆していいものだったんでしょうか? 原子爆弾とか使って、普通の市民達を殲滅していいんでしょうか? 無条件降伏したんで、そのことについてアメリカに文句は言えないのかもしれませんけどね、空襲とか、原爆とか、そんな作戦おかしいと思いますよ。そんなことしなくても、アメリカは勝てたと思うんです。そんな疑問を見ながら感じていました。

なんとうかな、今までわたしは、敗戦国日本は悪い国だと思っていました。いろんな事情があったにせよ、侵略戦争をしかけたわけですからね。なんというか、加害者みたいな気持ちになることが多かったのですが、しかし、この舞台を見て、あらためて、市民被害者だったんだということを強く感じました。そういう被害者の気持ちになれたということは、ひょっとしたら、ちょっと新鮮なのかもしれません。

主人公の少年Hはそういう戦争という、不自由で、不毛な時代に、自分らしさを追究しなければならないということを痛感します。ことに敗戦と同時に、その気持ちは強くなります。これって、時代的には今とは逆ですよ。自由で、物が余っている時代です。自分らしい人生というのをいくらでもデザインできそうな時代です。ところが、現代人ってどうもその価値を、他人に決めてもらおうとしていると思えてきます。それもどうかすると、金額に換算して。皮肉というか、裏腹というか。もっと自由で、もっと多様化してきているのに、どこかで、金銭という画一的なもので評価したがっているのではないか、そんな気がしてなりません。 そういう意味で、この舞台はおもしろくもあり、いろいろ考えさせてくれる作品ではあるのですが、最後の自分たちの未来に向かって、感受性を大切にして生きていくんだという三人の若者の決意表明さえもが、ノスタルジーに感じられてなりませんでした。

関西芸術座のサイト
その中の「少年H」のぺージ

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COMMENT



ドラマを見ました

2006-07-27-Thu-23:25
私は以前TVドラマでみました。その後本を読みたいなぁ!と思っていたら「少年Hは矛盾だらけ」の記事を(間違いだらけの……は読んでいません)いっぱい読んでしまい、感動して損したぜ!って思ったよ。でも実話として読むから少しのエピソードが嘘になっちゃったんでしょうけど、小説としてなら良かったのかな?まぁ、読んでいないからわかんないけど。
いつも思うけど日本って責められてばっかりで日本人自身も日本人が悪いと思いがち~だけど、本当に酷い目にもいっぱい遭っているなぁって思います。無条件降伏だったからでは済まないなんだか国民性とかあるんでしょうか?文句を言わないってのが。

2006-07-27-Thu-23:26
↑名前忘れていました。すいません。

☆あふろやんさん

2006-07-28-Fri-07:43
わたしも読んだわけではありませんが、どうも、「少年Hの生長と戦争の進行が、実際の年表上の戦争の進行と一致しない」というのが中心だと思います。「間違いだらけ」。

でも、本来小説はそういうものではないのです。フィクションだからといって、なんら価値を落とすことはありません。ま、検証した結果間違いがあると指摘してもらったほうが、ま、助かることもあるってなもんでありましょう。

テレビ化したんですか~。知りませんでした。

2008-08-14-Thu-12:24
[色:FF6633]読みましたv-10
面白かったですv-7
戦争のことがよく分かりましたv-9

☆ポニョさん

2008-08-14-Thu-17:58
はじめまして。

コメントありがとうございました。

戦争のこと……、史実と考えると間違いだらけという人もいらっしゃるようですね。でも、ま、実情というのか、真実というか、本質は変わらないと思いますけど。

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