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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

「血はリングに咲く花」~書籍紹介

2005-12-21-Wed
忘年会があり、いつもはクルマで通勤ですが、久しぶりに電車に乗りました。別に久しぶりでもないか。ずっと、ハードカバーの『照柿』を読んでいるのですが、この日は酔っぱらう予定でしたので、携帯に便利な新書か文庫でもないかと書店に立ち寄ると目にとまったのが、これ『悪役レスラーは笑う』です。

副題は『「卑劣なジャップ」グレート東郷』となっていますが、力道山時代の大ヒール、グレート東郷の正体に迫る一冊です。筆者の森達也(ドキュメンタリー作家・映画監督)は1956年生まれのプロレスファン。力道山時代のおぼろげな記憶と、馬場猪木の輝かしい時代をリアルタイムで見てきた世代です。『週刊ファイト』が編集者を募集していると知って面接試験をうけるために東京から大阪に赴くも見事に不採用。以後、プロレスを仕事にすることができず、ずっとプロレスファンを続けてきたんだそうです。

往年のファンなら名前ぐらいは知ってるのでしょうが、最近の若い人に言うとすると、こんな説明はいかがでしょうか。先日和泉元彌とハッスルで対戦した鈴木健想はWWEで「ケンゾー」と名乗ってヒロコとともに憎まれ役(ヒール)として人気を博していたのですが、そのケンゾーも着ていたような、ステテコサイズといいますか、ようするに膝下までのリングタイツとベアフット(裸足)という田吾作スタイルを考案、イメージ付けしたのが、このグレート東郷なんですよ。G馬場もデビュー時代はアメリカでこの出で立ちで戦ったのです。

今の時点で、まだ、前半しか読んでないのですけど、「老人ショック死事件(このとき白黒テレビの中でブラッシーに噛みつかれ、流血していたのがG東郷です)」、「G馬場のアメリカ修業時代(馬場や猪木をアメリカでめんどう見てたのがG東郷です)」、「G東郷リンチ事件(力道山亡きあと日本プロレスを乗っ取ろうとして、ユセフ・トルコと松岡厳鉄にホテルでKOされたのがG東郷です)」などなど、試合そのものよりもプロレスの周辺がいくつも描かれています。

これはそういうG東郷のドキュメントであると同時に、G東郷を核にした日本のプロレス史であり、日本のプロレス論でもあります。後半にはルーテーズ戦を振り返るグレート草津(同名のK-1選手の父)へのインタビューもあって、先が楽しみです。

ちなみに、題名に採用した「血はリングに咲く花」は「世紀の悪玉」と並んでG東郷の枕ことばになっていたキャッチフレーズです。総合格闘技やK-1にはない、5カウント以内の反則が許される世界。その中で自ら悪役を演じ、あえて汚いプレーをし、流血させ流血させられ、ブーイングを浴び、そしてベビーフェースを輝かせる、そういうことを仕事にしたいたのが悪役レスラーなのです。

力と技の勝負であるスポーツ的なプロレスではない、ショーマンプロレス。その歴史が書かれている一冊です。むふふ、虚虚実実、smart ass です。

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読了しました。後半は、というか、前半からそうなんですが、「グレート東郷の出自」がひとつのテーマになっています。その問題の解明のために、筆者は桜井康雄に会い、斎藤文彦と会い、そして、G東郷が国際プロレスのエースにしようとしたグレート草津(同名K-1選手の父)にも会うのです。そして、新たなG東郷を発見する、そんなドキュメンタリになっています。

そこにあるのは、日本のプロレスの歴史であり、G東郷の人間性を掘り起こしでもあります。昭和のプロレスを知らなくても、今のプロレスを知っている人なら、きっと楽しく読めます。おすすめです。



冒頭で紹介した『照柿』はこれ。「おっさん」の領域に入ったかもっていう人におすすめします。読みやすい宮部みゆきも、幻想的な話を書かせたときの桐野夏生もいいのですけどね~。この高村薫の文体は格別です。
照柿
照柿
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高村 薫
講談社 (1994/07)
売り上げランキング: 58,150
おすすめ度の平均: 4.5
4 うだるような・・・
5 日常から非日常に移るとき
5 心に突き刺さる魂の慟哭

COMMENT



日本のヒール

2005-12-22-Thu-12:04
 いいいいいいいですねえええええ。

 「プロレススーパースター列伝」を初めとする梶原一騎関連漫画でのグレート東郷の悪者っぷりは目を見張る物があります。

 実生活はどうだったかはこの本に書かれているのでしょうけれども、確かジャイアント馬場さんが「プロレスというビジネスの基礎はG・東郷さんに学んだ」と述懐していたような記憶があります。

 「卑怯で狡猾なジャップ」のイメージでアメリカで大成功を収めたG・東郷が日本のプロレス界に与えた影響は大きいと思います。

 フミ・サイトー(斉藤文彦)がちょっと出てきますか!
 プロレスを愛し、リスペクトするフミ氏の文章は大好きです。週刊プロレスに出てきます。
 

☆フクフク丸さん

2005-12-22-Thu-12:12
むふふ。

「プロレススーパースター列伝」も「空手バカ一代」も出てきますよ~(笑) また、記事中に出てくる桜井氏は、そのプロレススーパースター列伝の原作者(筆名は違いますけどね)です。

岩波から出た、おそらく、初のプロレス関連書籍ですよ。ぜひ、どうぞ~。

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