David the smart ass

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「花と蛇」もしくは団鬼六の楽しみ方

2005-02-07-Mon
ツタヤに「ボーンアイデンティティ」を返却して、かわりに借りてきました。「花と蛇」です。公開当時劇場で見たいとおもっていたのですが、見そびれました。しばらく忘れかけていたのですが、なんと、第2作の予定があるみたいなんですね。そういえばなって、思って棚のぞいたらあったんで借りてきちゃったんです。

原作の団鬼六は、青春時代の作家の一人です。この文体のねちっこさは、江戸川乱歩の系列に位置します。倒錯とか、異常性愛とか言われていました。そういえば、かつては、耽美小説とかいう言い方もしましたね。近年では、すっかり同性愛的な同人誌系の小説をいうみたいなんですが、SM文学をそう呼んだこともあったんです。

団鬼六といえば、半自伝的エッセイ「SMに市民権を与えたのは私です」ってのがあります。出版された当時は話題で、毎日新聞などの書評欄にも紹介されて、わたしはそれ見て欲しいと思いました。名古屋駅前の地下の、割りあいと大きめの書店で何度も棚を見回したのですが見つかりませんでした。

レジで尋ねようと思ったのですが、純情なわたしは、女性店員に「SM……」などという言葉で始まる書名をとても言い出せませんでした。しばらく、ウジウジしていると(笑)、黒縁メガネでインテリ風の、いかにも頼りになりそうな中堅の店員が、レジのところにきたのです。

今だ。今しかない! わたしは決意を込めていいました。「すみません、本を探しているのですが、SMに市民権を与えたのは……」。毎日新聞の書評にとりあげてあるような、それも新刊本ですよ。まさか、その人が知らないとか、その大きな本屋にないとかそんなことは思ってもみませんでした。……ところが、そのどちらでもなかったんです……。

「え? 何? なんですか?」……この忙しいのにって感じのぞんざいな対応です。「ちょと、ここにはないようですんで、確認してみますね」……、お、やっぱ頼りになるじゃん。悪いなぁ、忙しいのに流石だわ。その店員は、レジの奥の柱にかかっているいかにも業務連絡用といった電話でどこかの部署に問い合わせてくれました。

「もしもし、今こっちにないのがあって、そっちで確かめてくれる? 新刊らしいんだけど、ええと、なんて本でしたっけ?」彼はこっちを見ます。え~ え~。「なんて本でしたか?」メガネの奥から上目遣いに睨むように見てきます。……うひょ~、ここからそこに聞こえるように言えっての……。みんないるじゃん。若いおねいさんの店員だけじゃなくて、お客さんまでいるじゃん……。

まさに……恥辱。さすが団鬼六。自伝的エッセイを買いにいったわたしに、こんな屈辱を味わわせてくれるなんて……。「え~と、SMに市民権を……」わたしはボソボソというと、「は? なに、エスエムに? 何?」……蛇のような目を持つ店員の執拗な責めです。まだ、言わないといかんのかよ……。わたしは公衆の面前で、赤面しながら書名を大声で言わされたのでありました。

そして……、その肝心の書籍はありませんでした。……おいこら、○○書店。客にこんなしうちしていいんか~!!大手新聞の書評にとりあげられたものくらいチェックしとけよ!!

蛇のみちは―団鬼六自伝
団 鬼六
幻冬舎 (1997/06)
売り上げランキング: 357,659
おすすめ度の平均: 5
5 こんな人生があるのか


ちなみに、その書籍は現在は加筆され『蛇の道は 団鬼六自伝』(幻冬舎アウトロー文庫)と改題されています。おもしろいです! ただ、どうせなら最初からこのタイトルで出してくれていたらと、少しうらめしく思ったりもしています。


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