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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

「荒木経惟 往生写集ー顔・空景・道」展~豊田市美術館

2014-05-12-Mon
GW中、遠出はせずに豊田市美術館を訪れました。

豊田市美術館には、今年生誕100年を迎えた漆芸家高橋節郎の作品を常時展示する高橋節郎館もあります。こちらは、本夏、特別展を開催する予定です。一度は見ておくのがいいと思います。なんせ、漆器は英語でjapanでもありますし。

今回の訪問の目的は、「荒木経惟 往生写集ー顔・空景・道」展でした。

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展覧会タイトルは源信の「往生要集」を踏まえてのネーミングなんだそうです。「往生要集」は読んだこともなく、名前くらいしか知らないのだけれど、「往生」といえば「極楽往生」なわけでして、それをタイトルにしてるってことで、(あれ? そういえば、アラーキーって死んだんだっけ?)と心のなかで叫んでしました。これは、大変失礼な話なのですが、わたしの知ってるアラーキーは、存在感のあるというか、質感のある、モノクロヘアヌードでして、性と生のエネルギーに溢れているという感じでして、「(極楽)往生」なんて言葉の正反対に位置しているイメージです。なんだろう、ひとさまの人生観を、こっちが勝手に決めてはあれですが、あくまでわたしのイメージとしては「わしはやりたいようにやり、撮りたいように撮ったんだ、地獄に落ちようが本望よ」って感じだったのですよ。「無頼派」のイメージと重なるような感じです。

……、でしたが、失礼、ご存命でした。ガン宣告や手術などを経験し、近年は右目を病で失いながら、ま、そうして体験hが「死」つまり「往生」を身近に感じたということから、このネーミングに至ったようです。

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→ Wikipedia:「荒木常惟
→ 豊田市美術館:荒木経惟 往生写集―顔・空景・道の公式サイト




本展覧会のテーマは「顔」「空景」「道」となっていますが、これは、アラーキーが撮り続けてきたモチーフを連ねた作りとなっているのでしょう。テーマはやっぱり「生」と「死」もしくは「死」をも含めたた「生」なんでしょうね。

「さっちんとマー坊」のシリーズや「男の顔」や「石川の顔富山の女性」はみんな生き生きとした顔です。一方、電車の中の顔のシリーズや都市の顔は、「疲れ」「倦怠」に近い無表情に「生」を感じさせるものが多いと感じました。一枚一枚を丹念に見るには時間がかかりすぎる、一枚一枚の人には表情があり人生もあるんだろうけれど、壁一面に貼られた写真の中には顧みられることの少ない、いわば映画のエキストラに近いものもあるのかもしれません。それはそれで、群衆としての「生」というか、「大衆」としての人生を表しているようにも感じました。

一方で、結婚、新婚旅行、入院、闘病、死という過程で撮られた、妻・陽子と空をテーマにした作品は、「愛」というよりは「喪失」を強く感じさせるものでした。それは、そのまんま、愛猫チロの写真とも重なります。たまたま、「旅」のシリーズも「猫」のシリーズも「死」で完結してしまっているからなのかもしれません。東日本大震災や自身のガン宣告などのイメージも重なり、重く暗い「死」という形への集結を感じさせました。

そうして、同時に、また、愛と喜びに溢れた母子のヌードが、「再生」のイメージというか、新たな誕生、すばらしい生の連環のイメージへとつながるのです。

わたしは、荒木経惟の写真展を見たのは初めてでした。わたしの知ってるのは週刊誌などに出ている、「人妻エロス」のシリーズがほとんどです。語弊がありますが、透明感のある憧れるヌードではなくて、質感のある生々しいヌードでした。これが何かなと思うと、リアリティということだったのでしょうね。そうして、こうして展覧会として構成されると、ヌードの向こうに見ていたのは「性(sex)」ではなくて「生(life)」だったのだということが、よくわかるのでした。それは、「死」と対峙する「生」ではなくて、「死」をも含めた「生」です。

それが、荒木経惟の「往生」ということなのでありましょう。

おもしろかった。

ついでに書くと、記事を書いてる途中で、「センチメンタルな旅・冬の旅」論争というのがあることを知りました。簡単にいうと、荒木経惟が妻・陽子をとった一連の写真の中に、陽子夫人の死に顔の写真を入れたことについて、同じく篠山紀信がひどく批判したということのようです。

こちらのブログがちと詳しいです。
→ 荒木経惟氏の写真について考察〜その2〜 - 菌類の悪意 

わたしとしては「死」も「生」の一部であるという荒木経惟の解釈だと理解しています。

以上が、「往生写集」の感想です。

あと、豊田市美術館の宣伝。

豊田市美術館には度々訪れたのですが、池の向こうにこんなふうに菖蒲があるとは知りませんでした。全部咲いたら見事じゃないでしょうか。この写真はGW前半のものですので、今ごろはきれいなんでしょうね。
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次は、高橋節郎館の外観です。
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今年は生誕100年。こちらに、まとめページを作ってみました。
→ 【生誕百年】ぜひ見ておきたい~高橋節郎まとめ~漆器は英語でjapanです! - NAVER まとめ

さらにおまけ。

帰りに見かけた、最近いろんなところにできている、アジアン系のリラクゼーションの店です。
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なんとなく、アダルト専門っぽい感じもするマッサージなんですが、ま、サービスより、この店名が気になって、車の窓からあわててとりました。ちょっと画質悪いですけど、「桜ボン」と書いてありますが、看板左手にある写真は、チェリーで、本当は「サクランボ」じゃなかったんかと思うのですよ。それが、何か気になりました。

入って店の人に確かめるなんて気にはなりませんでしたけど。

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