David the smart ass心のダイエット!~時には辛口メッセージを~ |
江戸川乱歩の未刊行の翻訳「赤き死の假面」が豪華本で正字正かなで出てる
2013-01-28-Mon
おそらく、現在の全世代の日本人を対象に、「読んだことがある小説家」のアンケートをしたら、すべての小説家の中でぶっちぎりに一位になるのは、江戸川乱歩だろうと勝手に思っている。「陰獣」や「D坂の殺人事件」はともかくも、「少年探偵団」や「怪人二十面相」は、誰でも読んでいるだろうと思うのだ。夏目漱石や芥川龍之介だって、江戸川乱歩には及ぶはずはないと。それをもって、江戸川乱歩が最も偉大だとか、夏目漱石の上だとか言うつもりはない。しかしながら、江戸川乱歩が日本人、ことに小説に限らずさまざまな創作に関わる人たちに与えた影響は計り知れず、偉大な作家であったには違いないのであるが。
江戸川乱歩は自らのペンネームをエドガー・アラン・ポーからとったのだが、わたしは、子供の頃はそんなことに気づかなかった。正直、作家名などどうでもよく、名探偵ホームズとか、怪盗紳士ルパンとか、少年探偵シリーズなどを図書館で片端から借りて読んでいただけであったので。中学生くらいになって、どこかで、それを読んで知ったのだが……、ま、それは、全く知らない人にとっては、ちょっとした薀蓄であり、ちょっとミステリーに詳しい人には、ごく当たり前のことだった。しかしながら、実力が全くないのに、ただ、人が海外の人気作家の名前をもじって自らのペンネームにしたくらいで、何か大きな仕事ができるはずはない。素晴らしいのは、日本にまだミステリー小説やSF小説が根付いていなかった時代に、エドガー・アラン・ポーを敬愛し、そのもじりを自らの筆名として採用し、そうして、自らがまさに先陣を切って執筆活動、編集活動などを行い、今日の隆盛を迎えさしめたのである。その名に恥じぬ大きな成果は、まさに、命名時の並々ならぬ覚悟を思うのである。なんて、凄い人だったのかと。
さて、その江戸川乱歩が唯一翻訳した、エドガー・アラン・ポーの小説が、初めて書籍として刊行されたという新聞記事が出ていた。
へぇ、欲しいかも~と思って記事を読むと、この本は所謂豪華本ということで、ちとわたしが「ちょっと買う」というにはもったいないような感じです。記事にはこんなふうにありますね。
とあって、藍峯舎のサイトによると、価格は1万円ということだった。
同ページには、本の写真も6枚掲載されているので、一枚だけ引用。
ああ、素敵だな。
電子書籍の大きな波が来ている中で、あえて、本という形態にこだわっての出版ということだろう。
ところで、この「赤き死の假面」が江戸川乱歩による唯一のポーの翻訳ということについて、藍峯舎のサイトに詳しく書かれている。そこからまとめると、こんな感じ(引用ではありません)。
昭和4年(1929)改造社刊の『世界大衆文学全集』の『ポー、ホフマン集』には、江戸川乱歩の翻訳として、エドガー・アラン・ポーの作品15篇が収録されているが、それは実は渡辺温によるものであった。これは後日に江戸川ら乱歩の自伝の中で明らかにされた。ところが、昭和24年に探偵小説雑誌『宝石』11月号に掲載された「赤き死の假面」だけは、実際の江戸川乱歩によるものだった。この『宝石』11月号はエドガー・アラン・ポーの没後100年祭記念で、そのトップを飾ったのが、本作「赤き死の假面」だった。
なるほど。電子書籍の時代に突入しつつある今、豪華本の魅力を再認識させたいという企画の第一号として、江戸川乱歩の本作が選ばれたのは、頷ける。日本で一番読まれている作家の、翻訳ながら未刊行の作品といえば魅力的である。箱入り牛革の背表紙の豪華装丁とする価値ある内容でなくてはならぬ。そして、正字正かな表記。藍峯舎のサイトにはこうある。
商品である以上、読みやすさを追求し新字新仮名表記とする考えもありだろう。しかし、このような豪華本では、本来の雰囲気を感じ取り、言葉選び、文字遣いにこだわった作家の計算を知るという考えもあるのだ。
新聞記事になっているので、「これから発刊」という前宣伝を兼ねているかと思ったが、既に発刊されて、購入した方がブログ記事を書いていらした。写真付きである。
・名張人外境ブログ:「『赤き死の假面』刊行のお知らせ」
・名張人外境ブログ:「藍峯舎から『赤き死の假面』が発売されました」
・名張人外境ブログ:「藍峯舎通信をどうぞ」
・名張人外境ブログ:「赤き死を函から出して大晦日」
・名張人外境ブログ:「ついに『赤き死の假面』のページを開きました」
・名張人外境ブログ:「『赤き死の假面』は天金となっております」
・名張人外境ブログ:「『赤き死の假面』は精興社で印刷されました」
・名張人外境ブログ:「『赤き死の假面』まとめエントリ」
楽しそうだと思いながら、読み進めると、大きな間違いだった。「購入した方」ではなくて、「今回解説を書かれた方」とすべきだった。ブログ主の名前は本書の解説者の名前と同じだったのだ。
最後に、今回の記事に関連する話題を検索していたら、「名張市『江戸川乱歩ゆかりのスポット巡り!』 : 平山歯科医院日記」というブログ記事を見つけた。そこに掲載されてた動画を紹介。
この動画は、やはり、名張人外境ブログ(「このあたりの連中はくその役にも立ちません」)にも記事あって、三重テレビが作ったものだという。名張の図書館は、学生時代に出かけ、江戸川乱歩のマント?やステッキを見た記憶があるが、こんな動画があるところを見ると、その後、なにか力を入れているかもしれないと思ったが、どうも、人外境ブログでみるとそうでもないようだった。
ま、隣県でもあるし、ぜひ、もう一度訪問したい。羽島くらいまでは毎月のように行っているし。
江戸川乱歩は自らのペンネームをエドガー・アラン・ポーからとったのだが、わたしは、子供の頃はそんなことに気づかなかった。正直、作家名などどうでもよく、名探偵ホームズとか、怪盗紳士ルパンとか、少年探偵シリーズなどを図書館で片端から借りて読んでいただけであったので。中学生くらいになって、どこかで、それを読んで知ったのだが……、ま、それは、全く知らない人にとっては、ちょっとした薀蓄であり、ちょっとミステリーに詳しい人には、ごく当たり前のことだった。しかしながら、実力が全くないのに、ただ、人が海外の人気作家の名前をもじって自らのペンネームにしたくらいで、何か大きな仕事ができるはずはない。素晴らしいのは、日本にまだミステリー小説やSF小説が根付いていなかった時代に、エドガー・アラン・ポーを敬愛し、そのもじりを自らの筆名として採用し、そうして、自らがまさに先陣を切って執筆活動、編集活動などを行い、今日の隆盛を迎えさしめたのである。その名に恥じぬ大きな成果は、まさに、命名時の並々ならぬ覚悟を思うのである。なんて、凄い人だったのかと。
さて、その江戸川乱歩が唯一翻訳した、エドガー・アラン・ポーの小説が、初めて書籍として刊行されたという新聞記事が出ていた。
へぇ、欲しいかも~と思って記事を読むと、この本は所謂豪華本ということで、ちとわたしが「ちょっと買う」というにはもったいないような感じです。記事にはこんなふうにありますね。
本を出したのは、豪華本の文化を守ろうと昨年、一人で限定版専門の出版社、藍峯(らんぽう)舎を設立した新潮社OBの深江英賢(ひでたか)さん(64)。敬愛する乱歩関連の作品から、埋もれていた本作を見つけ、第1弾として書籍化した。箱入り牛革の背表紙の豪華装丁。
とあって、藍峯舎のサイトによると、価格は1万円ということだった。
エドガー・アラン・ポー 著
江戸川亂步 譯
オディロン・ルドン 口繪
350部限定(記番入り)
定価10,000円(税込)
造本仕様
A5判変型、本文122頁、背継面取表紙・金箔天金、丸背、貼函
函上題簽用紙/新局紙(白)二色刷
貼函用紙/五感紙 荒目(黒)
背継表紙/背・緋色染牛革
表裏布・アサヒバックサテン(黒)
文字・本金箔押
見返用紙/シープスキン(古色)
本扉用紙/ソフトバルキー(スメ入りアイボリー)二色刷
口絵用紙/Mr・B(オフホワイト)
本文紙/サンフォーレ(ナチュラル)
同ページには、本の写真も6枚掲載されているので、一枚だけ引用。
藍峯舎のページより
ああ、素敵だな。
電子書籍の大きな波が来ている中で、あえて、本という形態にこだわっての出版ということだろう。
ところで、この「赤き死の假面」が江戸川乱歩による唯一のポーの翻訳ということについて、藍峯舎のサイトに詳しく書かれている。そこからまとめると、こんな感じ(引用ではありません)。
昭和4年(1929)改造社刊の『世界大衆文学全集』の『ポー、ホフマン集』には、江戸川乱歩の翻訳として、エドガー・アラン・ポーの作品15篇が収録されているが、それは実は渡辺温によるものであった。これは後日に江戸川ら乱歩の自伝の中で明らかにされた。ところが、昭和24年に探偵小説雑誌『宝石』11月号に掲載された「赤き死の假面」だけは、実際の江戸川乱歩によるものだった。この『宝石』11月号はエドガー・アラン・ポーの没後100年祭記念で、そのトップを飾ったのが、本作「赤き死の假面」だった。
なるほど。電子書籍の時代に突入しつつある今、豪華本の魅力を再認識させたいという企画の第一号として、江戸川乱歩の本作が選ばれたのは、頷ける。日本で一番読まれている作家の、翻訳ながら未刊行の作品といえば魅力的である。箱入り牛革の背表紙の豪華装丁とする価値ある内容でなくてはならぬ。そして、正字正かな表記。藍峯舎のサイトにはこうある。
自らの文学的ルーツであるポーの諸作のなかでもとりわけ亂步の愛着の深い作品とされる「赤き死」だけに、その翻訳は熱のこもったまさに入魂の一作となっています。訳語を選び抜き、視覚的効果まで計算し尽した亂步ならではの文字遣いや周到な訳註もあって、このポーの名作のこれまで誰も覗けなかった異様な深層にまで肉薄しています。
そんな亂步の文字遣いまで凝りに凝った翻訳の妙をご賞味いただくため、本書の収録では発表時のままの「正字正仮名」の表記を採用いたしました。
商品である以上、読みやすさを追求し新字新仮名表記とする考えもありだろう。しかし、このような豪華本では、本来の雰囲気を感じ取り、言葉選び、文字遣いにこだわった作家の計算を知るという考えもあるのだ。
新聞記事になっているので、「これから発刊」という前宣伝を兼ねているかと思ったが、既に発刊されて、購入した方がブログ記事を書いていらした。写真付きである。
・名張人外境ブログ:「『赤き死の假面』刊行のお知らせ」
・名張人外境ブログ:「藍峯舎から『赤き死の假面』が発売されました」
・名張人外境ブログ:「藍峯舎通信をどうぞ」
・名張人外境ブログ:「赤き死を函から出して大晦日」
・名張人外境ブログ:「ついに『赤き死の假面』のページを開きました」
・名張人外境ブログ:「『赤き死の假面』は天金となっております」
・名張人外境ブログ:「『赤き死の假面』は精興社で印刷されました」
・名張人外境ブログ:「『赤き死の假面』まとめエントリ」
楽しそうだと思いながら、読み進めると、大きな間違いだった。「購入した方」ではなくて、「今回解説を書かれた方」とすべきだった。ブログ主の名前は本書の解説者の名前と同じだったのだ。
最後に、今回の記事に関連する話題を検索していたら、「名張市『江戸川乱歩ゆかりのスポット巡り!』 : 平山歯科医院日記」というブログ記事を見つけた。そこに掲載されてた動画を紹介。
この動画は、やはり、名張人外境ブログ(「このあたりの連中はくその役にも立ちません」)にも記事あって、三重テレビが作ったものだという。名張の図書館は、学生時代に出かけ、江戸川乱歩のマント?やステッキを見た記憶があるが、こんな動画があるところを見ると、その後、なにか力を入れているかもしれないと思ったが、どうも、人外境ブログでみるとそうでもないようだった。
ま、隣県でもあるし、ぜひ、もう一度訪問したい。羽島くらいまでは毎月のように行っているし。
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