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「瞬く」の読みは「またたく」か「まばたく」か。

2011-10-17-Mon
twitterでこんなクイズに出くわした。

「瞬く」の読みとして不適切なものを答えなさい。
 (1)またたく (2)まばたく (3)しばたく (4)しばたたく


出題したのは、消火器さん。11月3日の文学フリマで初売りされる、正かな同人誌「正かなづかひ 理論と實踐」の執筆者の一人で、今回は主に自身の書道の経験を通じて得た知識を基に、新字と楷書の関係及び楷書の書き方についての興味深い文章を書いている。こういうことに無頓着であったわたしには、とても参考になった。また、ツイートも漢字や言葉に関するものも多く、なかなかいいセンスをしていると感心している。ちなみに、この同人誌には、わたしも応募し、原稿を載せてもらえることになった。すでに校閲も終わり、あとは完成待ちの状態で、とっても楽しみである。

ぜひとも、お買い求め下さい。11月3日をすぎれば、刊行元のはなごよみのサイトでオンライン注文ができるはずであります。(→注文する

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さて、宣伝終了。「瞬く」の読みについてのクイズの話に戻る。次の4つのうち「不適切」なのはどれだろう?

 (1)またたく (2)まばたく (3)しばたく (4)しばたたく




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 ▲表紙書影
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 ▲創刊号限定カバー(?)



正直、わたしにはわからなかった。というか、わたしは「正字」つかいでなく、「新字」つかいであるし、読みは当用漢字や常用漢字で覚えていたので、「瞬く」の読みは、「またたく」であり、「まばたく」は採用されていないことを知っていた。だから、答えは「2」だと考えた。もちろん、「しばたく」も「しばたたく」もおかしいと感じたので、「2、3、4」と答えれば、ま、わたしの知識に最も忠実だったのだろうが、どうも、この手のクイズは答えが一つという固定観念から、「2」とだけ答えてしまった。

消火器さんの回答は、「不適切なものはない。ぜんぶ適切」ということであった。

え? ちょっとそれはわたしには不満だったが、たとえば、こちらの筆順を中心に扱っているサイトではこうなっている。

音訓(読み): シュン、またた(く)、しばた(く)[常用外]、まばた(く)[常用外]、まじろ(ぐ)[常用外]、しばたた(く)[常用外]
 → 漢字の正しい書き順(筆順) - 「瞬」の書き方 漢字の正しい書き順(筆順) - 「瞬」の書き方



つまり、「瞬く」は、常用漢字表では「またたく」だけを採用しているが、常用漢字表外の読み方としては、「まばたく」「しばたく」「しばたたく」もありということだ。また、送り仮名が「く」でなく「ぐ」となるが、これも表外ながら「まじろぐ」というのもあることになる。ちなみに、「まじろぐ」とは「まばたきをすること」を言い、たとえば「少しもまじろがずにじっと聞き入る」などと使う(→ goo辞書:「まじろぐ」)

ああそうなんだ。「正かな同人誌」の同人たちには、現代かなづかいと並んで新字体に対しても批判的な人も多くて、その人たちは「正字」を使おうという立場である。常用漢字を認めないのであれば、常用漢字表で限定された読みに拘束されるいわれはない。そんなふうに勝手に、国が決めた常用漢字を逸脱していいのかという疑問の向きには、2~3の例を紹介しておこう。

たとえば、「その他」というときの「他」がある。2年前まで「た」という読みは常用漢字で認められていた。しかし、「ほか」という読みは認定されていなかった。多くの人は「そのほか」と読んでいたが、「そのほか」と読んではいけないことになっていたのだ。「今は秋刀魚が旬だ」の「しゅん(旬)」や「粋と野暮」の「いき(粋)」、「肝腎要」の「かなめ(要)」も認められてなかった。2010年の改訂常用漢字表で認定されることになったのである。追加されたものは29例。

追加(29音訓)
 委(ゆだねる)、育(はぐくむ)、応(こたえる)、滑(コツ)、関(かかわる)、館(やかた)、鑑(かんがみる)、混(こむ)、私(わたし)、臭(におう)、旬(シュン)、伸(のべる)、振(ふれる)、粋(いき)、逝(いく)、拙(つたない)、全(すべて)、創(つくる)、速(はやまる)、他(ほか)、中(ジュウ)、描く(かく)、放(ほうる)、務(つとまる)、癒(いえる・いやす)、要(かなめ)、絡(からめる)、類(たぐい)
→ Wikipedia:「常用漢字


これらは、字体はともかく読みに関しては、それまで常用漢字表には認定されていなくても、世間的には十分一般的であった。ほとんどが、普通に誰でもが使っていたものばかりだろう。だからこそ、今回の改訂で追加されたわけなのだ。字体や漢字そのものの使用に比べ、読みに関する限りは制限がさほどうまく機能しなかったと言えるのかもしれない。なにせ、制限以前に書かれたものを読むときには、そう読まざるを得ないし、その字が表内で残りその後も使用されてるのであれば、それをそう読むことを表外だからと言って忘れることは何の利益もないのだから……。

こういう視点から「瞬く」のクイズを見ると、消火器さんのおっしゃるとおり、すべて不適切というに当たらないという立場はもちろんあっていい。ただ、逆に、学校の先生などが、漢字の読みの問題に「瞬く」を出題して、「まばたく」とか「しばたく」とか答えたものを正解にすべきか、誤答とするかについては、あるいは職務に忠実な人ほど悩むことになるかもしれないと思った。

ところで、わたしがこのクイズをとりあげたのは、このことが言いたかったからではない。

常用漢字表で、「瞬く」の読みとして「またたく」が採用されていること自体、逆に言えば「まばたく」が採られなかったことに疑問を感じたのだ。表外の世界では「またたく」と「まばたく」は同じ漢字をあてる、同じ意味の言葉である。

ま‐たた・く【瞬く】
[動カ五(四)]《「目(ま)叩(たた)く」の意。古くは「まだたく」とも》
1 まぶたを瞬間的に開けたり閉じたりする。まばたく。「しきりに目を―・く」
2 光がちらちらする。光が明滅する。「沖にいさり火が―・く」「―・く星」
3 《灯火が消えそうに明滅するさまから》なんとか生き長らえている。
「冥途(よみぢ)のほだしに持てわづらひ聞こえてなむ―・き侍る」〈源・玉鬘〉
→ goo辞書:「またたく」


まばた・く3 【▽瞬く】
(動カ五[四])
 [1]まばたきをする。またたく
   まぶしそうに―・く
 [2]灯火などが明滅する。またたく
   星が―・く
→ ヤフー辞書:「まばたく」(大辞林)


全く同じ意味の言葉なのに、「瞬く」の読みとして、「まばたく」が不採用になり、「またたく」が採られたのはなぜなのだろう。その差がどこにあったのか。わたしはそれを疑問に感じたのだ。

こういうときは検索である。わたしだけではないようで、こんな記事を見つけた。


「まばたく」は「またたく」が変化したものです。新明解では「またたく」を「まばたく」の「老人語」としています。もともとは「またたく」なのですが、青少年のあいだでは「まばたく」が一般化しているということです。
 →気になってならない: まばたく またたく 気になってならない: まばたく またたく



なるほど。もともとは「またたく」で、「まばたく」はその変化とうことである。最近の若い人は「まばたく」をつかい、「またたく」は老人語だとする辞書さえあるということだ。

そして、その古く正当な読みである「またたく」を常用漢字はとどめており、比較的新しい読み「まばたく」を採用していないのである。そして、将来的に常用漢字表が再改訂、再再改訂改定されるときには読み「まばたく」が追加され、また次に読み「またたく」が削除されるということになるかもしれないなどと想像したりする。正字つかいの方はどうお考えだろうか。

また、こんな危惧も持つ。「またたく」と「まばたく」が同じ語の変化ではなくて、別の語と認定されてしまわないだろうかということだ。たとえば、「光がまたたく」などはそもそも擬人法だったのだろうけれど、ひかりなどがチカチカと点滅することを「またたき」と言い、目をパチパチ閉じたり開いたりすることを「まばたき」と言うように分化していってしまわないかという心配である。常用漢字「瞬」の読みの採否において「またたく」と「まばたく」に差をつけたことによって微妙に意味が変わっていくのではないかと……。



さらに興味深いので書いておくと、2010年の改訂で、変更されたり、削除されたりしたものもある。

変更(1訓)
 側(かわ) - 訓「かわ」を「がわ」に変更。

削除(3音訓)
 畝(せ)、疲(つからす)、浦(ホ)

この中では「側」が「かわ」から「がわ」に変更されたのは、興味深い。「北側」「反対側」など、「○側」「〇〇側」という例はいくらでも思いつくので、ついつい「かわ」の連濁で「がわ」となっているのかと思ってしまっていた。しかしなかなか「側」を「かわ」と読む例は思いつかない。「向こうっ側」で「むこうっかわ」くらいしか……。

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