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観劇:「兄おとうと」~こまつ座公演

2009-09-15-Tue
観劇の市民サークルに入っています。月々会費を集めておいて、二つに1度例会という観劇会があるというしくみです。今回の例会はこまつ座の「兄おとうと」でした。

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 → 「こまつ座」の公式サイト

題名のとおり、兄と弟の話です。「兄弟」と書いてしまうと「きょうだい」と音読してしまいがちなので、「兄おとうと」としたのでありましょう。流石です。もちろん、ある兄弟の話です。どっちかというと、メインは兄の吉野作造です。ご存知でしょうか? 吉野作造。わたしは、どこかで聞いたことある名前くらいで、どんな人か、何をしたのか、そもそもどっち系のジャンルで出てきた人かさえわかりませんでした。

で、検索しました。吉野作造記念館ってのがあって、そのホームページがあります(→こちら)。「大正デモクラシーの旗手」って書いてありますね。ああ、大正デモクラシー。その言葉はよく知っていますが、その実際がどんなだったのか、詳しくは知りませんでした。明治の帝国憲法の下では議会だとかっても、特権階級のものでした。吉野作造は普通選挙を訴え、女性の地位向上を訴えます。劇中の吉野作造の台詞に「学者の仕事は2つある。研修することとその成果を広めることだ」と。吉野作造は留学し学んだ政治学の知識を、次第に強権的になり、軍事色を強めていく時代の中で、危険思想とにらまれながらも、論説を発表し、自らが理想と掲げた民主主義を広めようとしたのです。

吉野作造には10歳下の弟がいました。吉野信次です。兄弟ともに秀才で、兄と同じく東京帝国大学を首席で卒業します。兄が学者の道に進んだのに対して、吉野家の経済的な事情から、弟信次は官僚になります。こちらはこちらで役人として成功し出世していきますが、理想の下、危険思想とにらまれるような民主主義を訴え続ける兄作造に対して、軍隊が明治大帝の軍隊であれば、官僚も国のため、つまり天皇のために官僚ということになってきます。いわば吉野家の兄は反体制派の学者、弟は体制派というか体制のど真ん中にいるわけです。

兄弟の考え方の違い、立場の違いは疎遠にし、不仲にもするわけです。しかし、姉妹の姉といもうとを娶ったこともあって、やはり血は水よりも濃い、夫同士は顔を合わせなくとも、妻同士は連絡をとりながら、両家の交流は成り立って行きます。

この秀才ながら別々の理想に生きる、10歳違いの兄弟が、生涯で5夜だけ枕を並べた夜があった……。ものがたりは、5つの場面から構成されます。最初は信次は未婚で、兄嫁の妹と交際しているようだという場面ではありますが、ま、5つの場面ともこの二組の夫婦が中心に話が進むと言ってもいいでしょう。

しかし、そのメインを食ってしまうほどおもしろいのが脇役であるべき二人の男女です。吉野家(よしのけ)、大学の研究室、旅行先の宿など場面はそれぞれですが、言わばホスト的な作造兄弟夫婦に対して、ゲスト的に関わり、事件を起こし、引っ掻き回し、そして何かを残していく二人の男女がいます。吉野家の客と女中、街の巡査と女工、右翼学生と袁世凱の娘、説教強盗、町工場の主人と離別した妹など毎回役が代わるのですが、全部同じ俳優がやっています。そして、主役の作造兄弟夫婦以上にこちらがおもしろい。

その、社会の中のさまざまな場面に暮らしている人々と、理想の違う秀才兄弟を対峙させることによって、政治とは何か、憲法とは何か、民主主義とは何かを考えてもらおうという、そんなテーマになっているのですね。

こまつ座の芝居はやや長めなのですが、ストーリーもおもしろく、音楽も歌もあって飽きさせません。ああ、そいうえば、井上ひさしって「ひょっこりひょうたん島」を書いてたんだよなぁと、なんとなく思い出す。そんな作品ですね。おもしろい。


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