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観劇:「アルジャーノンに花束を」~劇団昴公演

2008-07-05-Sat
観劇の市民サークルに入っています。

今回は劇団昴公演「アルジャーノンに花束を」でした。
hanataba.jpg

 → 劇団昴公式ページ

ずいぶんまえに原作が話題になり、ユースケ・サンタマリアが主人公を演じるTVドラマが人気を博したのを知っていましたが、今まで読んだことも見たこともありませんでした。印象的なタイトルですのでそれだけは忘れていませんでしたけれど。

題名にもなっている「アルジャーノン」は、ネズミ、それも、医学実験用に買われているハツカネズミの名前です。アルジャーノンはある実験のために選ばれたネズミです。その実験はバカを外科的に治すというものです。外科的ということは、脳神経に外科的な措置を施して「利口」にしようというものです。そのために多くのネズミが捨てられ、最も成功した天才ネズミがアルジャーノンでした。

ネズミの実験のあとは、いよいよ実際の人間に対して治療するということになります。その治療第1号に選ばれた一人の男が、IQ60のチャーリーが主人公です。年齢は30代半ばです。チャーリーが成功することは、その他の患者への治療の道を開くことであり、患者自身やその家族を救うことでもありますが、それは、同時に研究者としての医者の功名心を満たすことでもあり、ポストを約束することであり、また、医療産業のビジネス的成功をもたらすことでもあります。そのために、主治医には補助金が出るし、おかげで非常に好条件でチャーリーは「実験的治療」を受けられることになります。

こうして、家族に見捨てられ、かろうじてパン屋で温かく搾取されながら生きてきた白痴(舞台でこの言葉が使われてます)チャーリーは、手術のおかげで「利口」になることができます。彼は、知識を得、過去を思い出し、また、それまでの自分のパン屋での生活を理解するようになります。知識の吸収は非常に速く、また積極的でもあったので(というか、そもそもそこを買われてチャーリーが選ばれたわけですが)、天才と呼ばれる領域に達します。見えなくてもいいものが見え、知らなかった方がよかったことも知るようになります。悩みも増えたりします。ま、こういうのはありがちといえばありがちでもありますが。

舞台でそういことも語られはするわけですが、知恵がついたぶん余分に悩みが増えたとうようなレベルの問題ではありません。簡単に言えば、脳神経の手術によって脳は天才の領域まで急速に発達したが、人は知性以外にも大切なものがあって、ま、それは、感情とか、情緒とか、精神というような領域になるのですが、それは促成栽培のようなわけにはいかないということがわかってきます。理屈では説明しきれない心の中のしこりのようなもの、恋愛の大切な場面になると幽霊のように現れる少年の幻とか、何か深い部分での苦悩が続くわけです。そして、天才チャーリーは、その自分の心を克服しようと、苦しみもがく……というわけです。

このことにチャーリーが気づくのはクライマックスにさしかかった場面です。チャーリーの最大の理解者であり、教師であり、恋人でもあるきキリアンが「追い出してよ。あなたの中からその子どもの部分を追い出してよ」というようなことを叫ぶところがあります。そう泣きながらすがりつかれて、「わかった、そうだったんだ!」と叫びます。何が、あそこでわかったのか……。わたしにはなかなかわからなかったんです。その後の芝居を見ていても、キリアンの言葉と何がどう結びついてくるのかもなかなかわからなかったのですが、寝ようと布団に入ってちょっとわかったと思いました。

それが、知性だけでは追いつかない情緒的発達というか(むしろ「未発達」というか)、トラウマの存在とか、その克服みたいなものなのかと思います。アキバの事件以来ちょっと気にしている「インナーマザー」というような言葉を思いついたりしながら、この作品の主題の一つには知性と情緒の発達のバランスということだろうと、ま、思います。

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個人的には、現代的でいい芝居を見せてもらったと思います。



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COMMENT



昔は…

2008-07-08-Tue-01:17
早川のアルジャーノンと白水社のライ麦畑はドル箱なんで文庫化しないって勘繰られてましたっけね。
でも両方ともサスガに文庫になってから20年以上は経っているでしょう?
お芝居が面白かったなら本も是非お読み下さい。チャーリー・ゴードンの一人称で綴られる形式の小説は言葉や文に関心の深い出人サンには更に興味深く感じられると思います本当は原書で読めたら一層たのしめるのでしょうが…)

☆スゥ。さん

2008-07-08-Tue-07:01
そうですね。読んでみます。背中を押して下さりありがとうございました。

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