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「里帰りうなぎ」って何?~一色町のうなぎ産地問題

2008-06-19-Thu
ウナギは回遊魚なんです。

たとえば、マグロも回遊魚ですね。潮の流れに乗って海を泳ぎまわってるわけです。もちろん、一定の海流ののって「回遊」しているわけでしす。ちなみに、Wikipediaで「回遊魚」を調べると、「死滅回遊」という恐ろしくも、はかなげな言葉に行き当たります。

回遊性を持たない動物が、海流に乗って本来の分布域ではない地方までやって来ることがある。これらは回遊性がないゆえに本来の分布域へ戻る力を持たず、生息の条件が悪くなった場合は死滅するので、死滅回遊(しめつかいゆう)と呼ばれる

ただ、100パーセント意味がないかというと、そうでもなくて、

無駄死ににもみえるが、もし海の向こうに生息に適した場所があれば定着し、新たな分布域を広げることができるので、全くの無駄死にではない。また、気候変動や海流の流路の変動があれば、それまで死滅していた地域で新たに定着できる可能性もある

などとも書かれています。漂流の果てに新天地が開かれるということのあるのですね。

閑話休題。さて、そういう回遊魚が食卓に上る場合の産地はどうなのかって話ですね。そもそもが回遊してるわけですし、中には死滅回遊であらぬところで漁網にひっかかり、泣き面に蜂みたいな魚もいるわけですし。で、一応、日本の場合は「原産地または陸揚げされた土地」ということになっているようなんですが、実際は同じ公海上のごく近い海域で、日本の船と外国の船が同じ魚群を獲るということもあるのでしょう。しかし、そんな場合でも、こんなふうになっているようです。

日本の領海内であれ、公海上であれ、日本の船が漁を行った場合は、国産品の扱いになりますので、水域名を表示します回遊魚等で水域をまたがって漁を行い、水域名が特定できない場合には、水域名に代えて水揚げされた港名または港の属する都道府県名を表示します。なお、水域名に水揚げされた港名または港が属する都道府県名を併記することも可能です。
 外国の船が漁を行い日本の商社が買い付けた場合は、輸入品の扱いになりますので、原産国名を表示します。原産国は、漁が行われた国です。ただし、公海上で漁が行われた場合は、漁を行った船舶が属する国が原産国となります。なお、原産国名に水域名を併記することも可能です

(農水省:「消費者の部屋」)じつは同じ水域の魚であっても、日本の船が獲ったかで外国の船が獲ったかで国産品か輸入品かが分かれてしまうんですね。やむを得ないんでしょうけれど。ま、そのような現状の是非はともかくとして、ここで言っておきたいのは、そもそも、魚にとって、というのはつまり、食用の魚の生産者や流通関係者にとって、できるだけ売れるような産地表示を選択するという土壌があるのですね。もちろんそれだって、当然、定められたルールの範囲内での話ですけれど。

一方で、この数年起きている、輸入ウナギの安全性の問題があります。ひょっとしたら、輸入ウナギの安全性で問題とされた台湾や中国の原産地側ではすでに対応済みなのかもしれませんが(だってだいぶ前で、売れなくなって久しいですから)、そうだとしても、農産物や加工食品の事件もあって、おそらく全然イメージが回復てないと思います。「ウナギの輸入品=中国産=危険」みたいなイメージが定着してしまってると思うのですね。

さて、ウナギは回遊魚なんですけれども、日本で消費しているウナギのほとんどは養殖です。ですから、生まれてから死ぬまで(というか、出荷されるまで)同じ場所で養殖されているんだろうと、思っていました。つまり、一色産(いっしき:愛知県一色町)の養殖ウナギは、一色町で誕生して、一色町で育てられていたのだとばかり思っていました。ところが違うのですね。

日本うなぎの生態は不明な点が多く謎に包まれています。一般に日本うなぎは5年から15年間河川で生活した後海へ下り、その後フィリピン東方海域で産卵すると言われています。生まれたうなぎの幼生は黒潮に乗って東アジアの沿岸にたどり着き冬に川を溯上します。その一部を採捕し飼育するのがうなぎの養殖です
 人工孵化の研究も各試験研究機関で試みられ、その結果人工的な採卵が可能となり孵化までは技術的に確立されましたが仔魚の初期飼育が難しくこの先の技術開発に大きな期待が寄せられています。
 → 一色うなぎ漁協:「うなぎの話」

つまり、「稚魚(でいいと思うけど)を捕獲し成魚に育てる」というのがウナギの養殖なんです。すでに「原産地」といわれたら、捕獲の場所? 養殖の場所? ということになってきそうです。でも、この場合、稚魚を成魚に育てたのだから養殖の場所を原産地にすると言われても、よさそうです。

じゃ、複数の場所で養殖したときの原産地はどうなるの? というのが、今回の問題らしいのですね。

愛知県によると、JAS法では、ウナギが複数の産地で育てられた場合、最も飼養期間の長い場所を原産地として表示する
 → 中日新聞:「鹿児島産ウナギを「一色産」 愛知県、漁協を行政指導」(2008年6月17日 夕刊)

なるほど。果たして運搬のコストやリスク(魚が弱るなど)を含めて採算があうかどうかわからないのですが、あくまで机上の理屈で考えれば、1日差でも飼育日数が長ければ産地表示が可能なわけですから、産地表示による商品価値が高まるということを考えると、外国である程度のところまで飼育させて、品質に合うものだけを輸入し、さらに飼育して国産としてブランドを高めて売るということも可能ということなんですね。

これをきちんルール内でしていたら、とりあえずの問題にはならなかったのだろうし、採算も合うのでしょう。特に、「外国産のウナギ=不安」みたいな印象ができてしまっていることもあって、双方の利害が一致しているのでしょう。

そこで、謎なのが「里帰りウナギ」です。

 日本で育ったウナギの幼魚(黒子)を海外に1度、輸出し、一定期間、成育させた後に日本に逆輸入したウナギは「里帰りウナギ」と呼ばれ、国内での成育期間の方が長い場合は輸入品でも「国産」として表示ができる。

 同漁協は育ちの悪かった黒子1トンを昨年11月に徳島県の業者を介して鹿児島県の業者に販売。鹿児島県の業者が台湾の養殖業者に販売し、さいたま市の商社が今年1月から4月まで同漁協に約72トンを販売した。
 → 中日新聞:「同記事

「里帰りウナギ」ってネーミングはそれはそれでけっこうなんですけど、別に、「里帰り」でなくても、飼育期間が長い方を産地表示するという原則でいけるんじゃないでしょうか?(ここ疑問です)

そして、もう一つ。日本で育ちの悪かった子ウナギが、台湾で立派に育つんでしょうか? もちろん、ダメものと値段で台湾が買っていくんでしょうけど、じゃそれが育ってきましたよ~って戻ってきて、果たして区別が付くんでしょうか? そのあたりは、ビジネスであり、また、信頼関係であるということになるのかもしれませんが、「里帰りウナギ」ってしくみはなんだかちょっと養殖というより、増殖のような気がしてなりませんね。

ま、そこが問題だったんでしょうけど。

わたしウナギ大好きでした。同じ愛知県人としても、今回の事件は非常に残念ですし、ウナギ好きの一市民としても、残念でなりません。

一色うなぎ漁協にはこんなお詫び文が掲載されています。

            お詫び

 当組合は仕入先から、平成20年1月20日から4月22日までの間に活鰻を72トン購入し、仕入先の産地証明書に基づき国産及び一色産として販売いたしました。
 この産地証明書については、国及び県による調査の結果、当組合が国産及び一色産として表示販売したうなぎが、一色産でなかったことが判明いたしました。
 産地証明書の誤りに気づかず、このような事態となり、関係取引先の皆様ならびに消費者の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
 当組合といたしましては、今後二度とこのようなことがないように事業管理の徹底に努め、事業に取り組んでまいる所存でございます。重ねて深くお詫び申し上げます。

                  平成20年6月17日
  
                    一色うなぎ漁業協同組合
                      代表理事組合長 大岡宗弘

漁協という組織がどんなもので、どのくらいの人たちが関係していたのかわかりませんが、農水省の「養殖うなぎの原産地表示の適正化について」には、

(1)一部の活鰻の輸入業者が、日本及び海外での飼養期間等の書類を整えたが、その事実の確認を一切行わず、結果として事実と異なる養殖場所、養殖期間等を記載した証明書を発行し、輸入した活鰻を国産と産地伝達する取引を行ったこと

(2)一部の養鰻業者が、(1)の証明書の発行に関与していたにもかかわらず、証明書の内容を確認しないまま、日本での飼養期間を証明し、(1)の輸入業者から仕入れた外国産活鰻を国産又は特定の地域名を産地として事実と異なる産地を伝達して加工業者等に販売したこと
また、当該活鰻を原材料として自ら製造したうなぎ加工品に、国産等と事実と異なる原料原産地を表示、若しくは稚魚から成鰻まで自ら生育したうなぎを使用している旨保証する地域ブランド名を表示して一般消費者に販売したこと

とあります。一部の輸入業者と一部の養鰻業者ってのはグルってことですよね……。

ウナギ日本一の「一色ブランド」が、どこぞの料亭のようにならなければいいのですけれど。

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2012-09-13-Thu-18:48
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