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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

短編小説:「池のほとり」(3/5)

2001-03-10-Sat


  (3)

しかし、子どもたちの世界は待ってはくれません。教師がそうした注意をしようかどうしようかと慎重に会議で決めているあいだにも、ある日の授業後太郎は数人の男子に学校の裏山に呼び出されてしまったのです。もう3年生も卒業し、いよいよ太郎たちの学年が最上級生とになるという矢先のことでした。歴史的な暖冬で、3月中旬だというのに桜の開花宣言が出て、これも温暖化の影響だぞと理科の教師が言っていました。

太郎が呼び出されたのは、裏山の林のそばの「ひょうたん池」と呼ばれている、浅めながらわりと大きな池が呼び出しの場所でした。
「おい、卑怯者。いつも先生にチクリやがって」
そんな声から、太郎の糾弾は始まりました。
「自分だけが調子こいてるんじゃないぞ。偽善者め」
「なにが、善意の発言だ。みんなが迷惑がっているんだよ」
取り囲んだ少年たちの主張はみんな似通ったものでした。今に始まったことでなくて、積もり積もったものという感じです。

「なんだ、仲間はずれの次は脅迫かよ。卑怯者はどっちだ」
もちろん太郎も一方的にやられているだけではありませんでしたえ。
「偽善者は俺だけじゃないぞ。あいつだってこんなことをしたし。俺よりもあいつの方がひどいんだ。知らないのか?」
「傷つけてるって、お前たちだって、俺一人をみんなで傷つけてるじゃないか。卑怯だろ」
「手を出してみろ、お前たち。学校にいられなくなるぞ」
太郎は口では負けませんでした。そして、そうした売り言葉に買い言葉は、やがて小突きあいに発展しました。
「なんだ、生意気な」
「テメエ」
「やっちゃえ」
取り囲んだ少年たちは次々と太郎に襲いかかりました。
「訴えるぞ。警察に訴えるぞ~。傷害だ。暴力だ」
太郎がわめきながら暴れました。ガンっとまた殴られました。

こいつはやばい。多勢に無勢です。太郎は池の縁に追い込まれていましたが、もう抵抗できないと思うと、服のまんまおかまいなしに背後の池に飛び込みました。






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