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映画:「ピカレスク-人間失格-」~DVDで

2006-11-22-Wed
猪瀬直樹といえば、最近では道路公団民営化の立役者の一人ですが、彼はもともとはノンフィクション作家なのです。さまざまな優れた著作があります。
 → 猪瀬直樹のオフィシャルサイト

ピカレスク―太宰治伝
猪瀬 直樹
小学館
売り上げランキング: 132510
おすすめ度の平均: 4.5
4 時代に選ばれなかったマイナーな作家たちよ
4 重ねられた真実
5 誰も書かなかった真実の太宰

その猪瀬直樹が人気作家太宰治の著作と死の謎に迫った評伝ミステリーが「ピカレスク-太宰治伝」であり、本DVDはその映画化(2002年作品)です
 → 映画「ピカレスク-人間失格-」の紹介ページ(CinemaTopicsOnline)

太宰治と言えば、近代の小説家たちがの作品がしだいに読まれなくなりつつある現代においても、今なお人気作家の一人といっていいでありましょう。「走れメロス」は太宰らしくない美談の傑作だが、そういう作品は珍しく、むしろ退廃的で、異端の作家として知られるだろう。

太宰は第1回の芥川賞の候補にあがり、また、その後も流行作家になるほどの作家としての実力を持っていた。しかしながら、その生活は退廃的であり、近代の自堕落な文士の一つの典型と行っても生活態度であった。酒と女におぼれる。女を次々と変え、それをヒントに小説を書く。時に心中をする。病気の治療からパピナールというクスリの中毒になる。現代であったら、とっくに文壇から干されていたであろう。作家も文化人であり、常識の人でなければならないから。

しかし、別格で許されていたということもなかったのだろうが、芸術家や作家、詩人には、なんとうか自己破滅的な無頼というか、危険なダンディズムというか、一種の豪放磊落な破天荒な生活も、ま、一種の芸術家らしさとして、あるいは「変人ぶり」として、伝説的にとらえられているのかもしれない。心中未遂で相手の人妻を死に至らしめ自分だけが生き残ったり、自身が自殺未遂をして破滅の縁に立ったとしても、太宰はやり直すチャンスを得た。

結局最期は人妻との情死に終わるのだが、それを含めると、心中未遂、自殺未遂を三度繰り返し、都合二人の女性を死に追いやった太宰治。果たして彼は、本当に死ぬ気だったのか? あるいは、そもそも自分は生きるつもりで、つまり、自殺や心中は狂言ではなかったのか? つまり、太宰自身はちゃっかり生き残るつもりで、未遂を繰り返していたのではないのか? それが、猪瀬直樹がした太宰治の著作活動と死の解釈である。

それをさまざまな「証拠」からまとめたものが、「ピカレスク-太宰治伝」であり、その映画化が「ピカレスク-人間失格-」であった。

太宰治をミュージシャン河村隆一好演、太宰をとりまく5人の女性に朱門みず穂、さとう珠緒、裕木奈江、緒川たまき、とよた真帆が、そして太宰の恩人であり師である作家・井伏鱒二を佐野史朗が演じる。また、中原中也や壇一雄など、太宰と交流のあった作家たちも登場するのでおもしろい。

あくまで、猪瀬直樹の解釈による太宰治伝だが、当然事実を踏まえているので、戦前戦後の時代的な背景などもわかって興味深いです。

※DVDのレンタルで見たのですが、現在AmazonではこのDVDは購入できないのか、検索しても出てきません。

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