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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

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「存」や「在」の三画目は上に突き出すか?

2010-10-19-Tue
ある日、いつも元気なT(以下)が青い顔をしてやってきました。

:「出人さん、出人さん、ちょっと話がある~」

がこんな顔をする話は、ま、わたしにとっては、そこそこおもしろい話です。Tは原則無駄な話はしません。結果的に力及ばず、無駄な時間に終わることはあっても、時間をかけて考えたり調べたりするにはおもしろいテーマを、時折なげかけてくれる、ま、楽しい友人の一人です。

:「出人さん、『存在』の『存』を書いてみて~」

ん? わたしは(以下)はしばし考えた。何かを試そうとしているが、「存」となったら……、あの話かなと、わたし()にはピンと来るものがありました(そもそも、こういう話はわたしにするものだとTの方でも決めているわけですよね)。

:「それってあれ? 出るか、出ないかってこと?」
:「お、すごい! なんでわかった~」
:「いや、以前『耳』で同じようなことがあって~」
:「あ、耳。耳偏?」

わたし()が思い出した『耳』の話は、今でも時々コメントがつく、ま、うちのブログの人気記事の一つです。
 → 過去記事:「「聞く」という漢字の「耳」ははみ出すか?」(2007-09-15付)

このときは「「耳」という漢字の5画目(一番下のよこ棒)が右に貫くが、「聞」のときはどうか」という問題であり、今回は「存」や「在」の3画目は上に突き出るかどうかという問題なのです。どちらが複雑かというと、「耳」の方が複雑な事情がありますよね。「耳」の時は貫くのが普通ですが、じゃ、「聞」や「聴」のときは貫くの、貫かないのってな話になって、ま、二段階なんです。

ただ、結論から言えばはっきりしていて、「聞」も「聴」も「存」も「在」も答えは同じで、「少なくとも文科省はどちらでもいいと言っている」ということになるんですね。

過去記事(「俺はダメなのかよ、常用漢字。~新常用漢字案の案」)で書いたのですが、近年見直しをされていた「改訂常用漢字表」が、この夏正式にスタートしました。その中に、漢字の字体について次のような記述があるのです。

ここに挙げているデザイン差は,現実に異なる字形がそれぞれ使われていて,かつ,その実態に配慮すると,字形の異なりを字体の違いと考えなくてもよいと判断したものである。すなわち,実態として存在する異字形を,デザインの差と,字体の差に分けて整理することがその趣旨であり,明朝体字形を新たに作り出す場合に適用し得る デザイン差の範囲を示したものではない。また,ここに挙げているデザイン差は,おおむね「筆写の楷書字形において見ることができる字形の異なり」ととらえることも可能である。
 → 参考:改訂常用漢字表(PDF)

で、問題の「突き出すか、突き出さないか」(「貫くか、貫かないか」、「交わるか、交わらないか」)に関しては、次のような用例をあげています。
sonzai.jpg

つまり、これらの字については、デザインの違い、つまり、どちらが正しく、どちらかが間違いというではないということを認めたのですね。

それはそれで妥当な結論といえるでしょう。「士」と「土」や「未」と「末」のように違う字が存在しないのならば、実際全く困らないわけです。困ってないから、実際、いくらだって流通しているわけなんですね。

というわけで、「どっちだっていいと考えて全く不都合はないようだよ」というのが、Tにわたしが言った結論で、それで問題はないんです。

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