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映画:「クライマーズ・ハイ」~DVDで

2009-11-06-Fri
「沈まぬ太陽」を見て、「クライマーズ・ハイ」見ました。

「沈まぬ太陽」は日航123便の事件をモチーフにした、当事者、まさに航空会社が舞台ですが、「クライマーズ・ハイ」は新聞社です。北関東新聞。マスコミではありますが、全国紙でなくて、群馬県を中心とした地方紙です。日航機が群馬県の御巣鷹山に墜落し、地元紙には、ひょっとしたら手に余るかもしれない未曽有の大事故を扱うことになるわけです。主人公悠木(堤真一)は、日航墜落事故の全権デスクとなります。

中央紙と地方紙とはきっと普段はそれなりの住み分けをしているのでしょうけれど、地元の大事件発生となると話は違います。殊に520名の乗ったジャンボ機が墜落するという大惨事を前に、地方紙はどう関わるかという困難なテーマが与えられます。地方紙なりの特色を出せばいいということなんでしょうけれど、県内墜落したとは言え険しい山中の事故であり地の利があるというほどでもありません。乗客・乗員にも地元の人間がほとんどなく地元紙として報道する価値がどうこまであるかという根本的な疑問です。それは新聞編集の本質というか、地方紙の存在意義の問題でもあります。そして、いざ集中取材となると中央紙の組織力というか、総合力に遅れをとるわけで、意地と言うか記者魂で勝負するみたいなことになってくるわけですね。ですから、日航123便の事故を扱ってはいますが、メインは新聞編集者悠木という男のドラマということになります。

「沈まぬ太陽」も123便の事故を厚いはしましたが、航空会社という巨大な組織に生きる人間ドラマでありました。今回は地方新聞社で組織としては幾分小さいですが、小さいなりの苦労というのがやっぱりあって(よさもあると思いますけどね)、ここまでひどくはないが、サラリーマンやるということは、たとえ傍目には順調にいっているようでも、多かれ少なかれこういう状況だということはあると思いました。

御巣鷹山事故つながりで見たのですが、事故の前後にほんとうに多くの人が関わっていたわけで、その誰にもドラマはあると思います。そういえば少し話は変わりますが、「沈まぬ太陽」の感想で、「被害者や遺族を冒涜している」というのを読んだことがあります。わたしはそんなふうには思わず、むしろ、航空会社の体質に原因の一つを求めるという意味でも、冒涜ではなくて、むしろ被害者よりの視点ではないかと思ったのですが、どうもそうではなかったようです。その方は渡辺謙がカッコよく描かれていて、それが航空会社側の人間であるということが気に入らないという意見のようでした。その根底には人の不幸をネタにして儲けやがってという気持ちもあるのかもしれません。

「クライマーズ・ハイ」はその方にはどう移っていたのでしょうか。事故の発生には直接は関係ありません。ただ、地方紙としてあるいはその記者として、この大事故にどう関わるかという視点の映画で、被害者への鎮魂を前面に出しているわけでもないし、事故の再発防止を謳っているわけでもありません。むしろ、マスコミなんて仕事は、ちょっと偏見っぽく書けば、他人様の不幸や悲劇を根掘り葉掘り調べ、痛みを聞き出してセンセーショナルに報道するみたいなところもありますしね。

そういう生臭い話なんですけど、「クライマーズ・ハイ」(登山家の快楽)という視点を持ってきて、悠木が登山家であり、新聞記事を作り上げるという仕事を、登山のチームになぞらえているところが上手いし、それを職場の人々の支え合いだけでなく、親子に結び付けているのには泣かせます。

あのラストシーンで涙が出ました。焼きが回ったかな……。


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