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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

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母さん、僕のあの○○どうしたのでしょうね。

2005-06-28-Tue
森村誠一の「人間の証明」は西条八十の詩をモチーフにして、戦争が終わり30年たってもなお残る、さまざまな形での影を扱っています。一人のアメリカ青年の死とそれを追う若き刑事、それぞれ背景を描きつつ、人間愛、家族愛まで迫る作品です。'77年に、「犬神家の一族」に続く角川映画第2段として、棟居刑事役に松田勇作を起用して映画化されました。その後も渡辺謙や竹之内豊でTVドラマ化され人気を博しましたが、やはり、当時の角川映画は勢いがありましたよね。
人間の証明
人間の証明
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5 忘れ得ぬ名作映画の名サントラですよ!!

西条八十の詩のとりあげ方が非常にうまく、もちろん原作でもそうなんでしょうが、ことに映画のTVCMで効果的に使われました。この「母さん、僕のあの麦わら帽子どうしたのでしょうね」のフレーズは、当時誰でも知っているものになりました。

作中でとりあげられた西条八十の詩「帽子」は、このフレーズ以外でもとてもいい詩です。読んでいただければわかりますが、少年時代を回想した作品です。目の前に母がいて語りかけているというよりは、むしろ、いない方がいい。心の中の母に向かって、母といっしょに歩いた子どもの頃の旅の行程を回想しているのでしょう。

もちろん、「帽子」という作品において、大切な麦わら帽子をなくしてしまったという設定になっているのですが、この麦わら帽子は、当時の母とわたしとの思い出の象徴であり、幸福だった家庭生活の象徴です(それは直ちに今が不幸であるという意味するわけではありません)。

今は失われた少年時代、幸せだった少年時代、幸せだった子どもの頃は、もうどこか遠く、橋から見た、あの谷底のはるか遠くに行ってしまい、草だの雪だの年月などにすっかりうずもれてしまっているわけです。

読みたくなりましたか? 「西条八十 帽子」でググれば見やすいページもヒットします。ただ、「霧積」のムードもわかるページとなると「霧積温泉 きりづみ館」の紹介されているページがいいかもしれません。こちらのサイトです。
 → 「明治時代を再現の六角風呂の『霧積温泉 きりづみ館」のページ。

ここで終わっては、第5回トラックバックテーマ「子どもの頃に信じていたこと」になりませんね。では、わたしが「信じていたこと」を西条八十の「帽子」のパロディでお伝えしましょう。

母さん、僕のあのお年玉、どうしたのでしょうね?
ええ、毎年の正月、母さんの在所でお年玉をもらうたびに、
落としたらいけないと母さんがあずかったあのお年玉ですよ。

母さん、あれは大切なカネでしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
あとで返してよといっても、貯金しておくからというもんだから。

母さん、ある年は、いとこにもお年玉渡してましたっけね、
なんだか僕がもらったのとそっくりの袋に入れて。
あれ、僕のじゃないかなって、確かめようとしたのですけどね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろいとこは、それをしっかりと握っていたし、
背たけも僕より大きくて力でかなわなかったんですもの。

母さん、ほんとにあのおカネどうなったでしょう?
そのとき僕がもらっていたって、別にたいしたものに使わなかった。
だって、せいぜい好きな本を買うくらいしかなかったのですから。
そして、春夏秋冬、さまざまな季節のなかで、
あのお年玉は毎晩のおかずになったり、僕の靴になったかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
そんな金の存在などとっくに忘れているでしょう、
昔、あこがれにさえ感じたあの伊藤博文の顔と、
1000円という文字を、
もう僕も忘れてしまいそうです、静かに、寂しく。

……わたしが子どもの頃信じていたことは「母が預かってくれると言ったこのお年玉は、きっともう僕のもとには返ってこないだろう」ってことです。

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