David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

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短編小説:「池のほとり」

2007-03-10-Sat
突発性競作企画第17弾『vs.Glim』参加作品


     「池のほとり」 
 





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短編小説「猫の話」

2006-08-27-Sun
 
 突発性競作企画第15弾『世界の名言』参加作品
 
 
 
 
 
  「 猫 の 話 」 
 
 
 
 
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ちょっと小説書いちゃいました。いろいろブログで遊んでいるうちに、「突発性競作企画」なんてのがあって、また書いてみようかなって気がしてきて。誤字脱字、へんな言い回しがあったら、非公開コメントで教えてください。

全部で、原稿用紙20枚くらいの短編で、記事5日分にわけて掲載してあります。作品の感想やトラックバックをいただけるようでしたら、この記事にお願いします。

では、よろしくお願いします。


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短編小説「猫の話」(1/5)

2001-08-27-Mon


   (1)

 市民寄席の会場を出ると、むっと暑かった。離れた駐車場まで歩くと、夜とは言えもう汗が流れてくる。クルマに乗り込んでエンジンをかける。クーラーが効き出すとほっとする気分だ。いっしょに助手席に座ったKも、いつもはもう少し多弁だが、暑さのせいか今日は無口だった。ヘッドライトをつけて、そのまま前のクルマが駐車場を出るのについてクルマを進めた。

 Kとわたしが市民寄席で知り合ったのは半年前の冬のことだ。市民寄席というのは、落語好きの市民サークルで、毎月の全員の会費をプールして、隔月で噺家(はなしか)を招いて落語を聞くというしくみになっていた。メインは一人。その落語家が弟弟子とか、若手を連れてくることがほとんどであった。もっとも、地方なのでそのメイン自身が若手であるということもたびたびあったのではあるが。また、地元の大学の落語研究会にも、前座として高座に上がる機会を与えるというはからいもしていた。大学生への謝礼など、プロに比べたら安いものだった。だが、学生にしてみたら悪い話でない。落語を聞いてもらえる上、アルバイトの時給に換算したら悪くない謝礼ももらえるし、おまけに、本職の話も聞かせてもらえるのだから。そんな取組で、地方都市の市民寄席は成り立っていた。

 半年前の二月、Kは市民寄席でわたしの席の隣にいた。マスクをして、ときどきゴホン、ゴホンと空咳をしていた。やむを得ないこととはいえ、コンサートや演劇などでもこうして咳をしたり、くしゃみをしたりするのは歓迎されない。それが、おしゃべりをしたり、ケータイが鳴りだしたりすると違うのは、本人には責任のないどうしようもないものということである。ムードを壊すということは変わりなくても、だからといって睨まれるようなことはあまりない。

 ゴホン、ゴホン。ゴホン、ゴホン……。六十歳過ぎの、大柄の頭の薄くなった、度の強い眼鏡をした男が、隣の席で肩を揺すりながら、苦しそうに咳を繰り返す。あまり咳がひどいので、落語家が「お客さん、大丈夫? 苦しい? 話、止めて待ってるから。ゆっくり、心おきなく咳をして~」と話しかけたほどである。コンサートや演劇ではこうはいかないのだろうが、そこは話芸、ムードを壊さずに気遣うこともできるのだ。ホールはややざわついたが、温かい雰囲気に包まれた。わたしもそのぬくもりにつられて「のど飴持ってますよ。舐めます?」と声をかけた。それがKとわたしの知り合ったきっかけだった。

 一席が終わって話してみると、Kの住む町はとわたしの町と隣町というほどではないが、そう遠くもなく方角的には同じだった。また、クルマに乗らないので、電車を乗り継いで来ているということも知った。冷え込む夜で、わたしとしても一人で帰るのもの寂しかったので、それならKをわたしがクルマで送ろうという話になった。Kも最初は遠慮したが、公演の感想をクルマで話し合うのも楽しいだろうという気持ちが、おそらくお互いにあったのだろう、遠慮なさらずにとわたしが繰り返すと、すんなり話はまとまった。じゃあ、ただ送ってもらうのも、ということで、Kがラーメンの旨い店があると言いだした。お礼に奢るから寄り道して帰ろうというのだ。

 その日以来、市民寄席の公演のたびにKをクルマで送って帰ることとなった。そして、同じく、どちらかが、ちまたで噂のラーメン屋を紹介し、少々遠回りでも食べて帰るというのが習いとなっていた。もちろんKのおごりである。わたしはKが車の謝礼のつもりでいつも奢ってくれるものと思い、快く奢ってもらっていた。そこには、クルマを持たないKが、やや駅から離れた店に食べに行くことができるというメリットがあって、Kとしても喜んでいるはずだとわたしは思っていた。



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短編小説「猫の話」(2/5)

2001-08-27-Mon


   (2)

「今日も食べていきますよね。ネギラーメンの旨い店を見つけたんですよ」
Kは答えなかった。ラジオのニュースを聞き入っているのかもしれない。
「ネギラーメンに、厚めのチャーシューを刻んで入れてありましてね。旨いんですよ」
その店はときどき食べに行くようになっていた。まだ、オープンしてそんなに経っておらず、Kはおそらく知らないだろうから喜ぶに違いないと思った。
「……」
Kははっきりとは返事をしなかった。なにかうなり声のようなものが聞こえたような気がしたが、うんと答えたようでもあるし、う~んと迷っているようでもあった。

「どうでした? 今日の話は?」
わたしは落語の話を振ってみた。やはりKは返事をしなかった。いつもなら、適当に「そうだねぇぇ」とか、「そうだなぁ、どう思った?」と、ま、わたしの問いかけに適当に相づちを打って、わたしに先に話をさせてくれようとするのに。
「わたしははじめて聞きましたよ。今日の話。Kさん、聞いたことあります?」
明確に呼びかけたら、Kの重い口が開いた。
「……四つ目の猫か……」

 落語には枕というのがある。それは落語の導入部分であり、一つの重要なテクニックである。本題に先立って、最近マスコミがとりあげている話や世間話、小咄などををいくつかして、その日の客の反応を見て、出しものを決めるのだ。もちろん、そればかりではない。噺の本題やさげ(落ち)の中に出てくるわかりにくい言葉やなじみの薄い事柄について、あらかじめこの枕の段階で小噺などをしておいて、事前に客席の理解を深めておくというねらいもある。ただ、その日の噺は、どうやら最初から怪談噺と決まっていらしく、枕から、お化けだの、狸や狐が化かすだのそういう話が多かった。そして、本題は猫に関する怪談だった。ちょっとした都市伝説である。

……最近、世の中をにぎわしておる話題に、ある女性作家が、猫に不妊手術をするくらいなから、生まれてくる仔猫を殺した方がいいのではないかと考えまして、実際それをしているとエッセイに書いたところ、これがいろいろと反響を呼びましてな、バッシングというか、なんというか、いろんなことが起きておるのであります。強制的に避妊手術をするのと、堕胎手術をするのと、生まれてきた仔猫を投げ殺すのとでは、どっちが残酷で、酷いのかというような……

 なかなかタイムリーでおもしろそうな話をすると思った。「わたしは子猫を殺している」という名言というよりはむしろ妄言で、直木賞作家がネットで大バッシングを受けた。わたしは、落語のおもしろさとか、話の上手さとか以前に、そんな話題を枕に入れられるこの噺家にちょっと親近感を持ったし、一目置いた。

 それから、噺は猫が呪うとか祟るとかいう話になって、それが日本ばかりではありません、ベトナムでもそういうことがあるのですよということになって、落語家の創作なのかどうかわからないけれど、ベトナムの四つ目の猫の話になった。残念ながら、枕の子猫殺しの方が興味深く、こっちの話はあまりおもしろくなかった。結局、怪談と言っても復讐の話というか、呪いの話というのは、複雑なことはなくて、要するに「酷いことをしたから呪われた」というような話で、あとは、それがどんなふうにおそろしいかということにかかっているのだった。

 --ベトナムのある川原で、おもしろ半分に石を投げて遊んでいた男がいた。間が悪いことに、近所に住む子どもがかわいがっている猫に当たって、運悪く死んでしまった。子どもがあまりにも泣き続けるので、最初は謝っていたものの、らちがあかず腹が立って思わず女の子までぽかりとやったら、はずみが悪くて女の子まで死んでしまった。その夜から、男が寝ているとどうも寝苦しくなる。足元に何者かが立ってこっちを見ている。生臭い匂いが部屋全体に漂っている。うわっと思って飛び起きて、明かりをつけてみると誰もいない。幾晩めにかに憔悴して目覚めたとき、男は暗闇に光る猫の目に気づく。それは人の目ではな、明らかに猫の目なのだけれど、どういうわけか四つ目の猫なのだ。そうして、その四つ目の猫が、だまってじーっと男が寝ている方を見ているという--そんな噺だった。



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