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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

MIAUの緊急声明発表と国会の解散~児童ポルノ法改正(3)

2009-07-17-Fri
「伝家の宝刀を22日に抜く!」と宣言したおかげで、「そんなら審議はできませんよ」と野党が拒否しています。国会は空転というか、機能停止。ウイルス性肝炎感染の治療に関する基本法である肝炎対策法案や、拉致問題解決などそっちのけで、核ミサイルの演習(実験?)を繰り返している北朝鮮への制裁に関する法律である船舶検査法などは、関係者の期待虚しく廃案の方向にむかっているようです。

麻生首相はこれらの重要法案の成立を待ち、成果を見定めて、「解散!」というべきできはなかったのでしょうか。まさに、党利党略、私利私欲。自分のプライドだけを考えたかのような感じです。なんか、泣きたくなりそうな状態のなかで、とりあえず、児童ポルノ法の改正安も廃案になりそうです。

 深刻化する児童ポルノ被害を食い止めようと、画像を所持することへの規制強化に向け国会審議が続いていた児童買春・児童ポルノ禁止法改正案は、衆院が21日にも解散されることで、廃案の見通しとなった。

 同法をめぐっては、18歳未満を写した性的な画像を個人で見るためだけに所有する「単純所持」を禁じる自民・公明両党と、「有償または反復して取得」した場合に処罰を限るべきだとする民主党がそれぞれ改正案を提出、先月26日に衆院法務委員会で審議入りした。3党は今国会での成立を目指して修正協議を重ね、「単純所持」を違法とすることで合意したが、処罰対象をどこまで広げるかなどで折り合いがついていない。
 → 毎日jp:「児童ポルノ:禁止法改正案は廃案の見通し 衆院解散で」(7月14日)

14日の記事には解散ぎりぎりまで協議の可能性もあるというようなことも触れてますが、その後の国会の様子を見ていると、少なくとも自民党は法案の審議どころではないという印象を受けます。

時系列的にはそれよりも前の話になるわけですが、MIAU(インターネットユーザー協会)が、児童ポルノ法改正に関して緊急声明を出していました。

10日発表の緊急声明はこちら、その解説はこちらで読むことができますが、ITMediaNewsが要点をとりあげています。


緊急声明の文章に説得力を感じます。要点は5点。

(1)児童ポルノの定義を客観的・限定的にし、アイドルの水着写真まで含むような法文を改善すること
(2)「性的目的で所持した場合」などあいまいな基準ではなく、客観的に証明できる基準で罰すること
(3)過去に合法的に販売された商品の所持まで罰する可能性がある法文でえん罪の恐れを高めるのではなく、新たな児童ポルノの製造・販売の処罰を強化するなどして児童を守ること
(4)ネットを規制する内容について、憲法や他の法律などとの整合性を取ること
(5)被害児童の保護や救済制度を拡充すること


(1)は、ここでも書いてきました。ポルノとは呼べない児童の写真までが「児童ポルノ」になってしまうのはおかしいです。

jidopo_01.png

わたしの考えでは、ポルノとうい大きな枠の中に児童ポルノがあるはずなのに、本来ポルノでない写真まで児童ポルノにしてしまうというような感じがしてなりません。

たとえば入浴に関しては日本の文化がありまして、親子や家族で一つの湯船に入るなどはなんの違和感もないのですが、あの「となりのトトロ」の父と娘二人の入浴シーンが問題となるというような話を聞きますと(→破壊屋:「となりからみたトトロ」)、これはアニメだったからまだよかったものの、実写があったならば、この法律が成立したら、「実写版となりのトトロ」は1年以内に全て焚書にするのかというような心配さえ出かねないのかと思ったりしたものです。

少なくとも現行法では適法であるものの単純所持に関してまでも処罰するというのは、問題を残します。過去記事に書いた、両刃の刃物を禁じられ、牡蠣加工業者が困っているという話ですが、これが、「実写版となりのトトロ」で起こるわけですよ。しかも、処分を忘れていると、「児童ポルノ単純所持者」というレッテルを貼られてしまうわけでしょう。

定義や基準、過去の適法作品の扱いなど、普通に考えたら困るようなことが、「児童ポルノ禁止」「子どもを守れ」という言葉の持つ絶対的な正当性の前で、反対しにくいムードを作っているような気がしてなりません。

子どもを守ってください。児童ポルノは禁止してください。そう思います。ただ、冤罪とか焚書みたいなことはやめてほしいです。基準があいまいで、結局児童ポルノじゃないものまで児童ポルノと言われたら困ると表現を自粛してしまうこともあるのですね。

たとえば、前の記事でとりあげた日本ユニセフ協会のスライドだって、3人の幼児の全裸のシャワーシーンがあり、男児は顔も表情も性器も全部写っています。となりの女児も乳首も性器も隠してません。趣旨から言えば、別の構図やアングルの写真でも構わなかったはずなのですが、別にわいせつだとかそういうには無関係に、過酷な状況で普通に生活していくこのと困難さと強さ、子どもの純真さを示すのは、むしろああした裸の持つ力で示したかったのだろうと思うのですね。困難さ、たくましさ、純真さ、日常性……。あの写真を選択したことはそうした撮影者や編集者の意図があると思うのです。

しかし、あいまいな基準ではこの写真は使えなくなります。普通の日常生活を送る子どもたちの、ごく普通のシーンは、わたしの基準ではまったく「児童ポルノ」ではないのですが、それはたぶん日本ユニセフ協会の判断でも同じはずですが、しかし法改正がされれば、その点がどうなのか全くわかりません。わからないということは怖いことです。「児童ポルノ」に該当し処罰されるのではないかという不安は、安全志向に向かいます。不安よりは無難でという心理の下に、この写真は消し去られてしまいます。この手の表現はすべてなくなりますし、公開だけがダメでなく、単純所持がダメの意味は大きいです。元データもネガもすべてなくなります。

憲法で保障された表現の自由に大きく関わってくると思うのですが、これは、わたしの屁理屈でしょうか?

そもそも、プライバシーの守られた入浴自体がこの子たちに必要なのかどうか、即断はできません。野蛮とか文化的ということでなく、たとえば、家族でお風呂に入るのは日本の文化であり、あの「となりのトトロ」のあの入浴シーンになんの違和感も感じないのが、一般的日本人なのです。逆に西欧には西欧の文化があり、家族の入浴に関する考え方もあるのでしょう。同様に、ジャワにはジャワの文化があり、子どもの水浴びがある。それを理解して発言しなければなりません。もちろん、文化であればなんでもOKという態度も問題ですが、少なくとも、そんなところまで、法律で強引に異文化の基準に合わせるのはやめてもらいたいと思います。

もちろん、今問題になっているのは、そんなことではなくて、性的に搾取されたり被害にあったりしている子どもです。その点に関しては、国境はないはずだと、わたしもアグネス・チャンと同じ気持ちで思うのです。

だからこそ、拙速はやめてもらいたい。法案が廃案になって、次期国会に回ってよかったと思います。定義や基準、適応対象など、無理なくそして実効性のあるものにしてほしいです。夜中に公園で酔っ払って全裸で騒いでいたタレントの部屋を探したら、「実写版となりのトトロ」があったので児童ポルノ単純所持で有罪……なんてオチでは、なんの効果もないでしょう。


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ユニセフのスライドも児童ポルノ?~児童ポルノ(2)

2009-07-08-Wed
どこから書こうと思ったのですが、最初に書いておきたいのは、わたしはアグネス・チャンが大好きで、デビューした頃からのファンです。だから、アグネスが日本ユニセフ協会の大使として、世界各地の子どもために活動してることも応援しています。アグネス応援していますよ。そして、日本ユニセフ協会が「子ども買春・子どもポルノ・人身売買をなくそう」というキャンペーンをしていても、素直に、応援したいなぁと思っています。だから、国会で、アグネスが参考人として発言していても、応援してあげたい気持ちなんですね。心情的には。そして、もちろん、わたしは、いわゆる「児童ポルノ」を認めようとは思いません。

ただ、「ポルノ」じゃないものまで「児童ポルノ」と言うのは、やっぱり嫌なんです。

前の記事の追記に書いた、ベトナム戦争の時、ナパーム弾攻撃の中を逃げまどう、全裸の少女キム・フックの写真。これは、この少女にしたらほんとうに気の毒な写真なんですけど、「児童ポルノ」になってしまうんでしょうか? やっぱりそれでいいのでしょうか?

この本の表紙、拡大するとこうなるのですが、これは、1972年6月8日、アメリカ軍のナパーム爆撃から逃げまどう一人のはだかの少女の写真です。少女キム・フックは当時9歳です。誰も、これを見て性的な刺激を受けないと思いますけれど、「児童ポルノ法」または改正法の基準ではどうなるのでしょうか?


 → 表紙の拡大

日本ユニセフ協会のサイトにも、こんな写真が掲載されています。

unicefslide_b.png

これは、「世界の子どもたち」>「写真・映像でみる」の中の「ジャワ島地震・ユニセフの支援活動」の中の10枚中2枚目のスライドです(表紙を含めると3ページ目)。もちろん、黒塗りはありません。わたしがしました。日本ユニセフ協会がWebページに掲載してるくらいですから、このレベルは、日本ユニセフ協会は「児童ポルノ」とは思っていないはずですね。わたしも同感です。だから、あくまで資料としてここに引用します。

上のピューリッツアー賞の写真やユニセフのスライドなどは、「児童ポルノ」じゃないはずなんです。どう考えても。こういうのが「児童ポルノ」に該当するようではいけないと思うのですね。ところが、どうもはっきりしないようなんですね、その点が。

日本の現行法の「児童ポルノ」の定義はこうです。

 一  児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態(1号ポルノ)
 二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(2号ポルノ)
 三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(3号ポルノ)
  → 保坂展人のどこどこ日記:「児童ポルノ法改正案の最新版「論点整理」

この「3号ポルノ」の定義があいまいなんですね。「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ってのが、あまりにも主観的過ぎるんです。

だから、こんな投稿まで掲載されるんですね。
 → 保坂展人のどこどこ日記:「[投稿] ジャニーズや「WATER BOYS」は「児童ポルノ」なの?

宮沢りえさんの「Santa fe」など、18歳未満の女性の写真集が児童ポルノなのかどうかについて最近関心が高まっている。Yahooのトップページにも、一時期その記事が並でいた。これら児童ポルノに該当する法律が成立した場合、一年間のうちに家捜しをして、処分しなくてはならないそうである。

しかし一方で、18歳未満の「男性」の上半身裸、特に「男の乳首」も児童ポルノに該当する。というのはあまり知られていないように思う。世の女性たちをはじめ多くの人を魅力する、ジャニーズやジュノンボーイをはじめとする男性アイドルの関連媒体だって、なんと立派に(?)児童ポルノになるのである
 → 保坂展人のどこどこ日記:「[投稿] ジャニーズや「WATER BOYS」は「児童ポルノ」なの?

う~ん、こんな疑問が出るような法律は、そりゃ、マズいでしょう。

いや、実はわたしだって、ピューリッツアー賞の写真や、日本ユニセフ協会のスライドだって問題ないと思いますよ。でも、正直、どこかでちょっとドキドキしてるんです。ひょっとしたら、世界の国のどこかでは、これを児童ポルノと呼ぶかもしれません。FC2ブログのファイル管理のページには

被写体が18歳未満と思われるポルノ画像のアップロード固く禁止しております

と書かれています。カリフォルニアの常識がどうなのかわからないので、FC2ブログに迷惑がかかってもいけないので、とりあえず黒塗りにしておきます。

ぜひ、こういうのが、曖昧にならないような法律をお願いしたいです。

確かに「児童ポルノ」を発信するような表現の自由はなくていい。しかし、境界がわからず、守りに入ると、このような黒塗りを作ることになってしまって、結果、表現の自由が侵害されしまうのです。どうぞ、こういう点を、クリアにして、安心してブログが書けるようにしてほしいんです。

ついでに、「児童ポルノ」がらみで最近気になった記事。

うっかりというか、冤罪というか、言い訳を聞いてもらえないという……。
 → WIRED VISION:「「児童ポルノ所持」の恐怖:濡れ衣を着せられた高校教頭」(6/30)

こっちは、少女が自分で投稿したものらしい。もちろんそれだって、単純所持でも違法は違法なんだろうけど、こんなのを、少女が勝手にメールなどで送りつけてきたら、いったいどうすんだべ……。
 → WIRED VISION:「今度は児童ポルノ:受難の『App Store』」(7/3)

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「児童ポルノ法」の改正は慎重に審議して欲しい

2009-07-01-Wed
保坂展人のブログで、児童ポルノ法改正の審議の動画が公開されています。
 → 保坂展人どこどこ日記:「児童ポルノ法の制定目的とかけ離れた監視国家への道(質疑動画付)

二つの動画が出ていますが、上の方を埋め込んでおきます。



まず、宮沢りえの『Santa Fe』が問題になっています。



『Santa Fe』は児童ポルノか? 基準はどうなんだ? という話になっています。また、もしこの本が家庭にあったなら、1年以内に探し出して処分しないとならないか? 撮影した写真家(篠山紀信)が持ってるネガはどうなんだ? とかそういう話になってます。

そうなんですよね。これ結構深刻な問題です。

自然に水浴びをしている少女や医学書などは除外するという規定もあって、芸術性に関わらなくても、ポルノに該当しない写真もあるということのようです。だから、例外の規定がある。

所持についても、捜査機関とか、国立国会図書館、法案審議の資料などけっこうありそう。諸外国では「文学、芸術、科学、政治などの価値」に関連するものを例外として除外するということもあるそうです。ただ、「芸術性があっても児童ポルノに該当する」というケースもあるのではないかという議論があります。

一応このあたりの問答では、枝野さんの見解には納得します。「仮に芸術性が高かろうが、18歳未満の者をモデルにして、ヌード写真や映画をとるようなことは、今後は止めましょう」という見解はいいと思います。だから、過去のもので芸術性のあるものをこれより新たに発売や配給することは止めたほうがいいが、「現在所持しているものについては、無理」というか「限界がある」ということになってくると思います。これだって法律の遡及に当たると枝野さんは言います。

そもそも、この法律の原点というか、目的は「被写体となって人権を蹂躙される子どもの保護」が第一で、これは異論がないようです。ただ、じゃ、「既に亡くなった人はどうなんだ?」ということも、微妙な問題になっているのです。アニメやマンガなとについては入らないということのようですが、ゲームを含め、アニメやマンガまで、実在の児童と同じように扱っていいか疑問だが、今後研究するということのようです。

また、取り締りといういうことになってくると、「自己の性的好奇心を満たす目的で所持していた場合」ということになっているようですが、いつなんでしょうか? たとえば、ある人が、学生時代(20年前としましょう)、いろんなものに興味があって、ちょっと少女の乳首が写っているような写真も載ってる雑誌を買ったとして、たとえば、別の記事が大切でとってあるなんてケースだってあるかもしれません。だって、当時は違法じゃないんですから。仮に当時は、それがその男の官能のどこかを刺激していたかもしれません。そんなことまで取り締まりになるんでしょうか? その後その男は結婚し、子どもを持ち、その子が女の子だったりして、すっかりそんな気分は若気の至りだと思っているのですが、やっぱり別の記事が好きで保存してあるってことって、あると思いますけどね。

で、たとえば、ここで持ち出してたいへん悪いのですが、先日、某アイドルが深夜の公園で全裸で騒いだとうことがありましたよね。彼は起訴猶予になって、芸能活動自粛も終わり、現在復帰しています。ここでその点をとりあげて攻撃したいとはもちろん思いません。ただ、その時に、警察は、家宅捜索をしています。果たして、酔っ払いが全裸で深夜の公園で騒いだ程度のことで家宅捜索までされるのかと疑問に思ったのです。恣意的でちょっと見せしめっぽいなって感じもしたのですが、もし、これが、現在審議している「児童ポルノ法」が成立していた後で、上にわたしが書いたような、微妙な本が2~3冊あったりしたら(これは【仮定】です)、「公然わいせつ」容疑ならびに「児童ポルノ法違反」容疑ということになって、いっそう深刻なダメージになっていたんじゃなかろうかと思うのですね。
 → 過去記事:「草なぎ剛メンバーが公然わいせつ罪で逮捕された件~「公然わいせつ」

ある職業の人たちにとっては、「○○容疑で逮捕」ってだけで相当な痛手になりますのでね。緒外国に比べて日本の「児童ポルノ法」の所持規定は著しく不十分であるということは、ときどき聞きます。そうかもしれないなぁと思うと同時に、まだ、日本が敵国条項の対象なっている先の大戦前夜にどういうことから思想の統制が始まり、戦争への道を歩んだを考えると、妙な話だが、ここまでゆるゆるなのがむしろ軍国化しないアリバイ証明なんだくらい言ってもらって、かなり緩い位置での規制、もしくは運用にしてほしいなと思います。

罰則規定がなければザル法だと言われますけれど、表現の自由に関することでもありますし、ぜひ慎重に扱ってもらいたい。やたらに拡大解釈にならないように、十分に付則というか、チェック機能を設けての成立であってほしいと思います。

立法の趣旨は賛成で、大切な法律だと思います。だからこそ、よく話し合って欲しいです。

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「検閲」~映画「コドモのコドモ」で秋田県が……。

2008-09-29-Mon
映画「コドモのコドモ」は昨日(9/27)、予定通りに公開を迎え、主演の甘利はるな、麻生久美子、谷村美月、萩生田宏治監督による舞台挨拶が行われたようです。
 → CInemaCafe.net:「甘利はるなの言葉に奥田民生感激! 麻生久美子はDSで子供たちに完敗!

記事にはいろいろと書かれていますが、公開まで来たのですからよかったというべきでしょう。わたしのブログ記事にも執拗な公開反対意見が書かれたくらいでして、ネットでもちろん多くの公開反対の書き込みがあっただろうと思います。そして、その流れと思うのですが、匿名の手紙2通によって、秋田県ではとんでもないことが起ころうとしていました。秋田県による検閲です。

 → 「高評価のファンタジー作品だけど 小5妊娠映画に「検閲」」(2008年9月19日(金)0時0分配信 AERA)

記事によると、7月下旬に「小学生の子どもが県内のスーパーのトイレで出産する場面があるらしい」「県に上映禁止や年齢制限などの措置を求めたい」というような内容の匿名のメールが来ていたようです。この、2通の匿名メールに反応し、県は映画配給会社に対して、8月上旬の時点で、ビデオかDVDを送るよう文書で要請したということです。

「県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例」が定める「有害興行」に該当するおそれがあり、「県の審議会にかけるかどうかを、まず我々が常識で審査する必要がある」(福原秀就県民文化政策課長)というのが理由だった。

県の立場をおさらいします。映画「コドモのコドモ」が条例に定める「有害興行」に該当するおそれがあったので下調しておきたかったということでしょうか。下調べというのは、メールだけではわからないので、正式に審議会に諮るかどうかを、実際見て確かめておきたかったということなのでしょうね。「見てから決めよう→送ってもらおう」というのは、伝聞だけで決めてしまうことよりは、それなりに誠実な態度だとは言えますけどね。

ただ、ここで「検閲」が問題になってきます。一般的に「公権力が外に発表されるべき思想の内容をあらかじめ審査し、不適当と認めるときは、その発表を禁止する行為(→はてなキーワード)」 を言います。これは、憲法21条で禁止されています。判例の中では

行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認められるものの発表を禁止すること

となっています。

「発表を禁止する」ところまではいかなかったのですが、「県が、公開前に作品を提出させる」というのは、それに製作側が応じたか、結果がセーフだったか、アウトだったかに関わらず、違憲行為である検閲(をしようとした)ということになるでしょう。AERAは有識者の声を載せています。

秋田県がしたことは、実質的な事前検閲。こうした無造作な動きが、表現活動をどんどん制限していく

というのは、服部孝章立教大教授(メディア法)の言葉であり、右崎正博獨協大法科大学院教授(憲法)は

行政は公開された作品に対して事後的に対応するのが原則。条例に定めがない今回の行為は、表現の自由において致命的

と述べています。憲法をおさらいしておきましょう。憲法第12条です。

 第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

わたしたちは、「表現の自由」という権利について、努力して保持していかねばならないと同時に、濫用してはいけないのです。濫用は規制を生み、それこそ検閲まがいのことが行われかねなくなります。

「コドモのコドモ」が、小学5年生が妊娠し、出産し、育児もするという設定で、どんな映画になっているかとても心配という声が、ネットにもたくさんありました。わたしのブログのコメント欄にも繰り返し投稿されました(その大多数は同一の方でしたけれど)。配給会社や上映予定の映画館、そして、能代市にも公開前から、さまざまな形での働きかけがあったようです。

こういう人たちが意見を言うことももちろん表現の自由ですので、構わないと思います。心配だったらそういう意見をぶつける自由はあるはずです(ただ、「児童ポルノだ」というような、事実を捻じ曲げてのまでの否定までやたらめったらするというのはひどかった。当時こちらはまだ見てないので的確に反論できませんでしたけれど、無事公開されたところを見ると、デタラメを強弁していたようにも受け取られます)。ただ、県が適切に応えて切れてないんですね。

映画業界の自主規制機関である映倫管理委員会(映倫)は、年齢制限の必要がない「一般」作品に分類。県は直接映倫に問い合わせ、そのことを確認している。さらに、ロケ協力者としてすでに試写を見ていた能代市職員にも電話をし、メールで指摘された場面が実際にはないことも聞いていた。

ここまでの情報があるのでしたら、「映倫もOK出してるし、すでに試写を見てる能代市職員も確認してる」という、まさにおなじみのお役所的な対応で充分だったはずで、いったい、何がどう作用してこんなことになったのか、不思議というか謎です。

迷惑な映画を作ってくれたものだ……と担当者は思っているかもしれませんけれど、こんな形で問題提起をすることになるとは、製作者サイドも想定外だったと思うのですが、どうなんでしょう。


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