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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

森村泰昌「なにものかへのレクイエム」展~豊田市美術館

2010-08-21-Sat
先日、久しぶりに豊田市美術館に足を運びました。

豊田市美術館に行くには、高速を使いますので、見たいってのがないと出かけません。今回は「MORIMURA YASUMASA - A REQUIEM」展です。日本語では、「森村泰昌 -なにものかへのレクイエム」展です。
morimura_pic01_s.jpg
 → 豊田市美術館:「森村泰昌-なにものかへのレクイエム」のページ

◇Note
 2010年6月26日(土)~9月5日(日)
 豊田市美術館
 一般:1,000円  高校・大学生:800円  中学生以下:無料
見たくて行ったので、期待どおりというか、期待以上でとても満足しています。ただ、こういう言い方をすると、森村泰昌について、わたしがファンか何かで詳しいのではないかと思われるかもしれませんが、そうでもありません。

はっきりと森村泰昌を覚えているのは、フェルメールを三重県まで見に行ったとき(→過去記事:「「液晶絵画Still/Motion」展を見る~三重県立美術館」に、「真珠の耳飾りの女」の作画工房を再現してるようなコーナーがあって、そこで、森村泰昌が、画家の役になったり、モデルの役になったりして登場していたということです。その時、まだ、森村泰昌が何者か知らずにいたわたしh、いったい何をふざけているのかとさえ思ったくらいです。(笑)

森村泰昌って何者か……、その作品を文章だけで伝えるのは難しいのですが、拙文をお読みいただいている方にはほとんど初耳って人も少なくないと思いますんで、簡単に書いておくと、写真特にセルフポートレートの手法を主に使う芸術家です。セルフポートレートというのは、自分自身を被写体とする写真つまり自画像ってことなんですが、森村泰昌の場合は、コスプレしたちゃうんですね。

たとえば、今回のレクイエム展では、三島由紀夫の「薔薇刑」を再現してるんですね。森村泰昌が三島をやってるんです。あるいは、1970年11月の市ヶ谷駐屯地の事件なんかもパロディにしてしまうんですね。--まさに、今回会場で上映展示されていたもの(の一部)が、YouTubeに出ていますが、森村泰昌が三島を演じつつ芸術論を述べているというか、日本の現代の「芸術家」に奮起を求めているわけです。


こういうことを、「コスプレ」「パロディ」なんて言葉で説明すると、なんとなく安っぽくなって、作家自身には不本意かもしれませんが、ま、実際に見たことのない人に言葉で説明するとそうなるかなと思います。ただ、念のために書きますが、ま、大きな美術館で個展をできるようなレベルの高さと迫力で、真剣に徹底的にやってるんですね。アインシュタインとか、毛沢東とか、レーニンとか、ブリジット・バルドーとか、山口百恵とか……。なんか、こう書くと、清水美智子を思い出す方もいらっしゃるでしょうけれど、芸でなくて、芸術として森村泰昌はやってますので、そこんところろをお間違いなく。




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「大江戸の賑わい展」~刈谷市美術館

2009-05-11-Mon
ちょっと、「だまし絵」に憑かれているのでしょうか?

先日の岡崎市美術博物館(→過去記事:「「視覚の魔術-だまし絵」展~名古屋市美術館」)、名古屋市美術館(過去記事:「「琳派・若冲と雅の世界」展~岡崎市美術博物館」)に続いて、今度は刈谷市美術館に、ちょっと長いタイトルで覚えられないのですが、「中右コレクション 幕末浮世絵アラカルト 大江戸の賑わい展 -北斎・広重・国貞・国芳らの世界-」に出かけてきました。

20090415art004.jpg
 → 刈谷市美術館:展覧会案内のページ
  ※当日券から100円割り引いてくれるページへのリンクがあります。


「だまし絵」に憑かれているというのは、ちょっと大袈裟だったのですが、名古屋の「だまし絵」はもちろんのこと、岡崎の「琳派・若冲」にも、歌川国芳のあの顔の絵(「みかけハこハゐが とんだいゝ人だ」※上のポスターの真ん中の絵)などの「寄せ絵」が展示されていたからです。

これだけ連続して見せられると、と言っても、そもそもこっちのが好んで見にいっているわけなので、ちょっと「だまし絵」に憑かれているのではないかと感じたのは、むしろ騙されてしまっっているわけでして、なんら心配になる必要はないわけなのですが。

さて、今回の「大江戸の賑わい展」は、浮世絵入門展と言ってもいいような展覧会でした。

町人文化の花開いた、まさに大都市江戸において、「美人画」が商品を売るためのポスターとして利用され、「役者絵」が人気歌舞伎スターのブロマイド的にもてはやされたこと。さらに、「東海道中膝栗毛」などで旅ブームが起きて「名所絵」(風景画)が発達したこと。また、伝奇や伝説のヒーローなどへのあこがれ「武者絵」と呼ばれる現代の劇画に通じるような作品群を生んだこと。だまし絵展と通じるような遊び心あふれる作品や、戯画、風刺画の登場。そして、「錦絵」と呼ばれる、非常に色鮮やかで豪華なな多色刷りへの進化など、浮世絵と人々の関わりや、浮世絵の豊かな表現性、多様性をたっぷりと見せてくれ、比較もできるので、浮世絵入門展として見ることができると思いました。

というか、今のわたしの知識ではその程度にしか味わえなかったというだけなのかもしれませんが、それでも、ロビーでは浮世絵の作り方が展示してありますし、ビデオコーナーもそういう視点から作ってあると思ってのですけどね。

ただ、長所であり同時に短所かもしれませんが、一般の洋画展などに比べてそもそも作品が小ぶりなため、展示数が多くなって、一点一点丁寧に見ていると、終わりの方になるとくたびれてしまいます。ポスターの一番下に出ているような「滝夜叉姫と大髑髏」などのような武者絵や錦絵、「ふの字づくし福助」や国芳の寄せ絵などは、展示の後半にありますので、こういう言い方をしてはあれですが、体力や集中力のバランスを考えて見た方がいいかもしれません。

あと、浮世絵つながりでちょっと思ったのですが、このほかにも、「枕絵」(春画)、「無残絵」など、いわばエログロの世界でも、浮世絵は広く人々に愛されていったと思うのですが、そういう展覧会って、どうなんでしょう、どこかで企画されることがあるのでしょうか。

さいごに、洋画を中心とした名古屋のものはともかく、「琳派・若冲展」→「大江戸展」という流れは、時代的にはまさに好都合で、このような形で企画してくれた両美術館に感謝したいと思います。同時に、刈谷市美術館の関係者、もしくは、大江戸の賑わい展の関係者が、わたしの記事を目に留めてくれたらと思って最後にお願いを書いておきます。ぜひ、「音声ガイド」をつけてください。別に有名な俳優やアナウンサーの声じゃなくていいです。せっかくの展覧会で説明を読んでる時間がもったいないです。字を読みに行くのでなくて、絵を見にいきたいんで。



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「視覚の魔術-だまし絵」展~名古屋市美術館

2009-04-30-Thu
名古屋市美術館で開かれている「視覚の魔術-だまし絵」展を見にいきました。

「だまし絵」というたいうことで思い出すのは、エッシャーとか、マグリットです。おなじみの作品も展示されています。企画側の今回の目玉はポスターにもなっている、この一枚の肖像画です。

damasieten.jpg

上の絵は公式サイトのトップをそのまんまコピーさせてもらいましたが、これが今回の目玉です。16世紀にハプスブルグ家に仕えた宮廷画家ジュゼッペ・アルチンボルドの日本初公開作品です。「ウェルトゥムヌス(ルドルフ二世)」の「肖像画」として書かれながら、四季の果物や野菜、穀物を巧みに組み合わせて描いています。トリックアートでは「ダブルイメージ」という手法に分類される作品ということです。会場ではどこでどの野菜がつかわれているかということを細かく説明してあります。時間があればじっくり見られると思います(わたしが行ったのは休日で大変混雑していました)。

上のアルチンボルドの「ウェルトゥムヌス」と同様の手法の歌川国芳作品もあります。裸の男を集めて一人の男の顔をつくっているような作品や、猫の顔が数多くの猫の集合でできているとうような作品。これもどこかで見たことがある……。こうした寄せ集めだけがダブルイメージというわけではなくて、一枚の絵に表に表れたものとさらぶ別のものが隠れるように描かれているようなものを言うようです。うまくいえませんが。

もう一つ、「トロンプルイユ(trompe-l'œil)」というフランス語が紹介されています。「目を騙す」という意味なのですが、まさに「だまし絵」ということです。家具屋で本箱の展示をしているのをみるとダミーの百科事典や書籍が入っていることがありますが、ま、その絵画版とでもいいますか、戸棚や状差し(レターラック)を本物そっくりに描いて、実物の雑貨や手紙があるように思わせる……そうした作品です。ヨーロッパやアメリカで大流行したというような説明もされています。また、石造そっくりに描いた一枚の板。遠めに本物の石造ですが、横にたつと平面板だとういうことがわかります。、しかも時代を経てだったと絵画があります。こうしたものは、芸術、美術というよりは、広告が華やかな現代社会ではいくらでもあるようにも思います。ただ、写真やコピーの技術が一般にひろがっていなかった時代には、特殊な腕前を持つ人たちの特別な技であり、さらに、芸術作品といえるものはその一部なのでしょう。

日本でも、「描表装」(かきびょうそう)という手法があります。本来掛け軸は絵なり書なりを画家や書道家が、それを表装して一枚の掛け軸に仕上げていくのは別の職人(表装職人?)の仕事なわけです。ところが、画家の側がその表装が担当する部分をあらかじめ絵で描き込んでしまうという手法が「描表装」で、これも一つの「だまし絵」という解釈で展示されてます。

「ダブルイメージ」や「トロンプルイユ」の手法、そして、「アナモルフォーシス」と「さや絵」など、いろんなだまし絵の手法を欧米と日本から紹介するというのも一つのこの展覧会の特徴でありみどころです。

……ですが、わたしが見て一番すごかったのは、パトリック・ヒューズの「水の都」でした。これはすごい! 順路に従っていくと、ちょうど正面からその作品と対峙することになるのですが、その配置がまたすばらしかったのでしょう、その立体感は驚愕といっていいです。思わず声をあげてしまいます。そして、絵を見たまま、右にうろうろ、左にうろうろ……。こんなことできるはずがないと思って、近づいたり、遠ざかったり、EXILEさながら絵を見つめたまま、身体をグルグル回してみたり……。それでも絵は着いてきます。着いてくるといっても後を着いてくるわけではなくて、奥行きというか、立体感というか、3Dの状態を忠実に維持します。横だけでなく、上下にも! そして、それは、コンピュータなどによる映像のトリックではなくて、ちょっとした工夫によってもたらされているのです……。ちょっと進んで隣の作品の前まで行き、振り返ってほぼ真横から「水の都」を見るとそのからくりがわかります。そのあまりの単純さに、え? こんなことでと改めてビックリ! 戻ってもう一度作品を見ると納得します。わかってみるとちょっとアレなんですが、実際見て驚いて見てほしいです。
 → 特別展「視覚の魔術-だまし絵」展ブログ:「話題の「だまし絵」作品その1
 → パトリック・ヒューズのホームページ

途中で、零円札もやがて登場するのかと思って見ていましたが、今回のトリックアートの中では紹介されていませんでした。特別展時間をとられて常設展まで回れなかった(その後大須へ行ったし)のだけれど、時間にゆとりがあったらどうぞ~。

■Note■□■□■□■□■□■□■□
開催期間:2009年4月11日(土)~6月7日(日)
開館時間 :午前9時30分~午後5時 金曜日は午後8時まで 
休館日:毎週月曜日(ただし5月4日(月・祝)は開館し、5月7日(木)は休館)
 → 公式サイト
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「琳派・若冲と雅の世界」展~岡崎市美術博物館

2009-04-19-Sun
久しぶりに展覧会の記事を書きます。

この間展覧会に行っていなかったわけでもなくて、たとえば、同じく岡崎市美術博物館で「あら、尖端的ね。 ―大正末・昭和初期の都市文化と商業美術―」というのを見たのですが、ついつい記事にするチャンスを逸したのです。

さて、今回は「京都 細見美術館 琳派・若冲と雅の世界」展です。
p_rinpa.jpg
最近目立ちますね。琳派とか若冲とか。若冲といえば、わたしの中ではもう二年ほど前に、県の美術館に見にいったのが印象に残っています。
 → 過去記事:「「若冲と江戸の画家」展/愛知県美術館

非常に迫力があり、おもしろかったことを覚えています。今回も……、と期待していったのですが、こと若冲に関しては、遠く及ぶべくもありませんでした。逆に言えば、今まで見てない作品を見ることができた……というような言い方もできなくはありませんが、金や緑、赤、青、黒そして白などを鮮やかに使った若冲の作品は、ほどんど見ることができませんでした。印象に残っているのは、上記ポスターにもある「雪中雄鶏図」くらいで、あとは水墨画というか、墨絵というのか、モノクロのものが多かったように思います。もちろんそれはそれで、たとえば瓢箪の絵(「瓢箪牡丹図)とかおもしろくもあったのですが、若冲を期待していくと、少しがっかりします。

ですが、展覧会全体としてはそんなことはありません。わたしはちょっと時間が都合で1時間くらいでさっと見て回ったのですが、もう少しじっくり時間をかけて見たかったという印象があります。

琳派の中では、作者未詳の「四季草花虫図屏風」が印象に残っています。四季折々の草花が春夏は金、秋冬は墨の背景に色とりどりに描かれているのですが、蝶やトンボ、キリギリスなどの昆虫も、その草花に隠れてというか、まぎれて描かれます。野原で昆虫を見つけ出したときの喜びを、そのまんま、美しく雅な屏風で体験できる、さながらそんな感じです。おもしろい!

また、琳派の後期の神坂雪佳もいくつか展示してあって、中でも「金魚玉」がとてもユニークでおもしろく感じました。あの手の掛け軸なら本来、月が陣取る位置に金魚玉(江戸時代に大流行した球形の金魚蜂)がどーんと描かれていて、正面から見た赤い金魚のアップが描かれています。固定観念というもののテストで、なんの条件もなく「魚を描きなさい」というと、かなりの多くの人が「横向きの魚、それも左向きのを一匹だけ描く」ということを聞いたことがあります(これは図鑑などの影響もあるようです)。ところが、この金魚は正面から描いてます。宇宙人、いや、人間を想像してしまいます。とてもおもしろかったのです。
 ※「金魚玉」で検索してみると、こんなグッズになっているのを見つけました。
 kingyodama.png

展覧会全体は、琳派と若冲とで7割、残りの3割が仏教美術や、絵巻、カルタ、重箱や櫃、鏡などの調度に施された美、まさに雅の世界を味わえるようになっています。琳派の屏風から発展した、同様の他の生活の雅、暮らしの雅みたいなものを見せてくれます。「桐竹鳳凰図屏風」は迫力もありますが、いったいどんな話なのかじっくり読んでみたかったのが住吉如慶の「きりぎりす絵巻」でした。なんでも、きりぎりすの玉虫の君が蝉の右衛門守に嫁ぐという話で、昆虫が着物を着て、馬ではなくてカエルに乗り、牛車を牛でなくナメクジが引いているという、虫嫌いの人にとってはグロな絵巻なんですが、とてもおもしろく感じました。

若冲を期待していく、若冲だけを目的に行くとちょっと期待はずれですが、展覧会全体はけっこうおもしろく、見ごたえがありますよ。

 → 岡崎市美術博物館のページ
 ※インターネット割引券があります。

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