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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

簡易検査で3度も陰性で死亡って~新型インフルエンザグラフ(17)

2009-10-07-Wed
台風が来そうです。まず、来ます。明日、東海地方にも上陸すると予測されています。秋雨前線の影響で雨量も多く、水害そして作物の被害が心配です。今年は冷夏で野菜不足、米の収穫も不安視されていましたが、この収穫期に来ての台風の東日本縦断はさらに農家への被害を増すおそれがあります。

そして、あいかわらず猛威を振るう新型インフルエンザは、21人目の死者となりました。40代の女性だそうです。

 堺市は6日、新型インフルエンザに感染した市内の40歳代の女性が4日午後に死亡したと発表した。新型インフルに感染した、または感染が疑われる患者の死亡は全国で21人目。直接の死因は、致死性が強い劇症型A群溶連菌感染症による多臓器不全で、新型インフル感染との関係は不明という。女性には高血圧症の基礎疾患があった。

 市によると、9月29日からのどの痛みやせき、発熱などの症状があり、今月2日に入院。3日からタミフルを服用していた。インフルの簡易検査で3度、陰性だったが、死後の遺伝子検査で新型インフルの感染が確認された。
 → asahi.com:「新型インフル感染40歳代女性が死亡 堺市」(2009年10月7日)

高血圧症の基礎疾患があったということですが、気になるのは「インフルの簡易検査で3度、陰性だったが、死後の遺伝子検査で新型インフルの感染が確認された」ってところです。

これは初めてではありません。先月17日に亡くなった横浜市の小6男児が簡易検査で2度陰性だったということがあり、厚生労働省は、簡易検査が陰性でもタミフルやリレンザの治療ができるようにする連絡を出しています。その時の記事では15人の死亡例のうち4例が簡易検査で陰性だったと書かれています。

 新型インフルエンザに感染した横浜市の小6男児(12)が死亡したのを受け、厚生労働省は18日、簡易検査で陰性であっても、インフルエンザのような症状がある場合はタミフルやリレンザの投与などの治療ができるとする事務連絡を、都道府県を通じて医療機関に出した。この男児は、2度の簡易検査でいずれも陰性の結果が出ており、治療薬は使われなかった。

 簡易検査は発症初期段階では陽性と判定されないことも多い。これまでの15人の死亡例のうち、簡易検査が陰性だったのは男児のケースを含め4例あるといい、厚労省は改めて早期治療を呼び掛けることにした。【清水健二】
 → 毎日.jp:「新型インフル:簡易検査で陰性でもタミフル投与を 厚労省」(9月18日付け)

これはどういうことでしょうか?

ちょっと古いといっても、2ヶ月くらいのことなのでそう古くもない記事ですが、こんなのがあります。

 【ワシントン=勝田敏彦】米疾病対策センター(CDC)は6日付の週報に、新型の豚インフルエンザウイルス感染を調べる簡易検査では、本来、陽性と判定されるべき検体のうち6割を陰性と判断してしまう場合があるとする実験結果を掲載した。

 簡易検査で陰性と判定されると、詳しい遺伝子検査(PCR検査)は行われないことが多いため、かなりの感染者が見逃される可能性がある。

 CDCは今年4~5月に患者から採取され、PCR検査で新型ウイルス感染がわかった45人分の検体を、市販の簡易検査キット3種類を使って判定した。

 その結果、新型ウイルス感染を見逃すケースが31~60%に上った。特にウイルス量が少ない検体では精度が低かった。一方、季節性ウイルス感染がわかっている20人分の検体を使った同じ実験では、見逃しは17~40%だった。

 日本では、少なくともこれらのうち2種類を含む16種類の簡易検査キットが使用されている。
 → asahi.com:「新型インフル、簡易検査は最悪6割見逃し 米CDC実験」(2009年8月7日)

つまり、非常に大雑把にいって、簡易検査の確度は50パーセントという、あんまりしてもしなくても変わらないってことになるのかしらん~(?) 逆に言えば、統計などで感染者数として報告された人と同じくらいの人が、本来は感染していても陰性と判断されていたということになるわけだし、そういう人たちが「陰性だったよ~」と、感染力のあるうちから歩き回っているということなんですね。

簡易検査というのは、つまり、「あきらかにインフルエンザである」という証明はできても、「インフルエンザでない」という証明はできないということになるのです。

それを踏まえて、このニュース。

 新型インフルエンザの流行が広がるなか、子供が感染していないことを示す「陰性証明書」や「治癒証明書」を求める保護者が急増し、医療機関が混乱している。学校がこうした証明書の提出を生徒らに求めていることが増加の背景にあり、茨城県医師会(原中勝征(かつゆき)会長)は5日、教育機関が生徒らに証明書の発行を指示したり、奨励しないことを求める要望書を同県教育委員会などに提出した。
 → MSNニュース:「【新型インフル】「陰性証明書」求める保護者急増で医療機関混乱」(10月6日付け)

学校や保育園、幼稚園などが「陰性証明書」を出さないと登校登園を認めないと言っているようなんですね。

記事に、無理解な学校の形式的な対応というような批判の匂いを感じるのですが、学校が証明書を求めるような形式的な対応をしている背景には、「インフルエンザ脳症」のことがあると思います。それは学校、保護者共通の心配なんです。
 → 過去記事:「「インフルエンザ脳症」って~新型インフルエンザグラフ(16)
      〃 :「厚生省「インフルエンザ脳症」のガイドラインを改定!~「エビデンス」

インフルエンザ脳症の子どもへの影響を考えると、一概に過剰反応と笑ってすますわけにいかないところもあると思います。

しかし、上に書いてきたように、そもそも「簡易検査で陰性」が信頼度がないんですよ。

さらに、検査キットの数の問題もあります。

茨城県医師会の今高国夫感染症担当理事によると、夏休み後にインフル感染の有無を調べる簡易検査や、治癒証明書を求めて受診するケースが増え、「検査で陰性の証明がないと、子供が学校に行けない」と訴える親が目立つという。

 今高理事によると、学校から指示されて受診する保護者が多いといい、「簡易検査の精度は100%でない上、検査キットが足りなくなる恐れがある。今後、患者の急増で診察に影響が出る可能性がある」と理解を求める。

本当の患者の検査に不足するというのでは、これではまずいでしょう。

医師会側の要望書は

 (1)簡易検査のみの受診を勧奨しないこと
 (2)治癒証明書を必須とするような指示を出さない

の2点です。

同県教育委員会の回答は

「生徒の出席停止などは各学校の判断で、検査や治癒証明書を求めるような指導はしていない」とした上で、「医療機関の負担を軽減するためにも、検査を控えるよう求めていく。治癒証明書が必要な場合には、医師の指導を受け、保護者が書くようにするなど協力を求めていきたい」

だそうです。

まさに、パンデミック。こうした混乱を協力と知恵でひとつひとつ切り抜けていかねばならないのですね。

ちなみに、どこかでナースに聞いたのですが、「熱が下がって2日後」が目安だそうです。

infu091006.png

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基礎疾患のない40代男性が死亡~新型インフルエンザグラフ(14)

2009-09-10-Thu
9日国内12人目の死者がでました。大阪の45歳の男性ですが、基礎疾患(持病)がありませんでした。

 大阪府は9日、新型インフルエンザに感染した四條畷市の男性会社員(45)が死亡したと発表した。感染者の死亡は疑い例も含めて国内12人目で、大阪では初。府によると男性に基礎疾患(持病)はなく、基礎疾患のない感染者が死亡したケースは国内では確認されていないという。
 → 産経ニュース:「【新型インフル】大阪で男性が死亡 国内12人目

「基礎疾患がなかった」と言われていますが、どんな栄養状態だったのか、勤務状態や疲労はどうだったのか、などはわかりません。今後の調査で判明してくることもあるでしょう。日本人はそれほど馬鹿ではないし、パニックのこわさを知っているとは思いますが、健康志向、安全志向、そして、不況とは言え金があるところにはあるので、どういうふうに出るのかわかりません。冷静な判断をするためには、正確な情報が必要です。ぜひ、お願いしたいところです。

では、死者数グラフをあげておきます。
infu_090909.png
これ、折れ線グラフじゃないほうがいいですよね。次回から考えます。

ところで、ふっと思うのですが、今回の豚由来の新型インフルエンザが国内で流行する前に、週刊誌が騒いでいたのは、鳥由来の新型インフルエンザでしたよね。豚由来の新型インフルエンザは感染率は高いものの弱毒性で、基礎疾患がなければ早期治療で大丈夫というような話でした。そういうことが判明する前の、ゴールデンウィーク頃には、たとえば中学の修学旅行が中止になるなど過剰とも言える動きを見せていたのですが、秋の行楽シーズンを控えそういう動きはあまり伝えられていません。実際、夏の甲子園大会後の選手や応援団の感染状況の報道を見ると、観戦するということを考えるとあれだけれど、軽いんだからやっちゃってもいいみたいな印象を受けるので、ま、このままいくのかなぁと思ったりもしています。企業も特に対策をとってるところは少ないようですし。わたしも、その点はそう思います。ただ、妊婦とか高齢者、わたしのようにメタボな人は重症化する惧れもありますので、油断をしてはいけません。手洗い、うがい、早めの受診を心がけたいところです。それはパニックとは違います。

さて、同じようにパニックをおこさないようにしなければいけないと思いますが、エジプトでは、致死率30パーセントを超える鳥由来の新型インフルエンザが発生しているのも、事実です。「新型インフルエンザ」=「豚由来」=「弱毒性でたいしたことがない」なんてイメージになってしまっているのですが、こういう固定観念を持つのは危険だと思います。マスコミといっても、週刊誌の守備範囲かなと思うのですが、このたびの豚由来の新型インフルエンザが発生する以前には、「ひょっとしたら人類を滅亡させるような新型インフルエンザ」みたいに書いてましたよね。その結果が、弱毒性で、なんとなく狼少年みたいなムードになっちゃってるかもしれないし、逆に、このタイミングで書くのは不安を煽るみたいなところがあるのであまりとりあげないかもしれないとも思うのですが、「鳥由来の新型インフルエンザ」もあるということは忘れてならないと思います。

鳥インフルエンザ-エジプトにおける状況-更新22
      2009年8月31日 WHO(原文)

 エジプト厚労省は2人の新たな鳥インフルエンザA(H5N1)患者が確認されたと報告した。

 一例はメノフィアに住む2歳女児で8月23日に発症、26日入院しオセルタミビルの治療が開始され、状態は安定しており、もう一例はダミッタに住む14歳女性で8月21日発症、23日に入院しオセルタミビルの治療が開始され、状態は安定している。

 どちらも死んだあるいは病気の家禽との接触があった。

 診断はエジプト中央公衆衛生研究所での検査で確定した。

 エジプトでは85例の確定例のうち、27例が死亡している(訳者注:致死率31.8%)。

                              (2009/9/1 IDSC 更新)


 → 国立感染症研究所>感染症情報センター.>疾患別情報 >高病原性鳥インフルエンザ

こういう言い方をすると、被害に遭われた方や、あるいは亡くなった方には気の毒な言い方になりますが、ちょうど8月11日に発生した静岡の大地震。多くの人は、いよいよ予想されていた東海大地震かと感じたと思います。それで怠っていた防災対策を見直した人も少なからずいたと。なんとく、豚由来のインフルエンザもそういう要素があるかもしれないと思います。

今、学ばねばならないのは、新型インフルエンザをなめることでなくて、感染症というものに対する正しい知識と、手洗い、うがいなどの生活習慣なんでしょう。

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