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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

【追悼】茨木のり子~自分の感受性くらい~

2006-02-22-Wed
先日(19日)茨木のり子が亡くなりました。

ちとショックでした。知ってる人が亡くなるのはショックです。そのレベルで。ここにとりあげるほど痛烈なファンでもないのだけれど、そのまんま素通りできるほど知らない人でもない、そんな詩人です。おそらく、現代詩人の第一人者の一人でしょう。第一人者が複数いては論理的におかしいのでしょうか? でも、きっと複数いますよね、第一人者って。そういうものではないでしょうか。

もちろん、茨木のり子の著作権は生きています。ほんとうはここに、お気に入りの詩を転載したいくらいなのですが、著作権法に明らかに触れるんで転載することはいたしかねます。しかしながら、どういうわけかちゃっかり転載しているページをここで紹介することはできます。ネットを検索したら、いくつか見つかりますんでね。

ですが、そういうのってどうなのでしょう? 自分は著作権法にふれていないものの、ひょっとして問題ありかもという認識をもちながら、該当の「違反」ページをリンクなど紹介するって行為は、これ、果たしていいものでしょうか? 直ちに著作権を侵害しているとはいえないまでも、著作権の侵害状態を黙認もしくは被害の拡大に一役買っているということになりそうな気がするのです。それでいいはずがない。「そういうことは、自分で考えてしっかりと見定めよ、自分の感受性できちんと感じ取って判断せよ」というのが、いわば茨木のり子からのメッセージですんで、恥ずかしくもここで、茨木のり子の追悼を書くのに、そんな見苦しいまねをできるわけはないのです。

わたしがここで紹介したい詩に限らず、茨木のり子の詩は、そういうはっきりとしたテーマ性のある作品が多かったと思います。茨木のり子はわたしの敬愛する萩原朔太郎とはあきらかに違う、自らのテーマを、きちんと作品の中でことばで主張するメッセージ性のある詩人でしたから。

その詩のタイトルは「自分の感受性くらい」という。同名の詩集にもなっています。
自分の感受性くらい
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茨木 のり子
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3 この詩が嫌いだ
5 時代がどうあれ、生きていかねばならない


書き出しはこうです。

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

こういう調子で「苛立つのを/近親のせいにはするな」「初心消えかかるのを/暮しのせいにはするな」「駄目なことの一切を/時代のせいにはするな」と詩は指摘します。

とにかくいろんなうまくいかないこと、いらいらすること、鬱積することを、周囲のものの責任にしたり、環境のせいにしたりすることが、われわれにはどんなにたくさんあるか。それは、見苦しいだけでなく、自分自身の弱さであり、堕落でもあるというのです。

そういう、自分がうまくいかないことを他者や環境の責任にするというのは「わずかに光る尊厳の放棄」だと指摘します。もっと自分で感じ取れ、感じたことを大切にしろ、自分の頭で考えろというのですね。

そして、詩の最後はこうです。

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

はい。すみません。わたしが弱かったです~。なんかこうついつい謝ってしまいます。

ことばだけで強がっていたり、その時々には格好つけて、じぶんの感受性や考え方を喧伝できても、どうも実際の生活の中では、随分愚痴愚痴といい、周りの者を責め、回りに当たったりすることもあるわけです。そんなことでは、もっと大切なことが見えなくなってしまうかもしれないのに。

いろんなことに、疑問を感じたり、したり顔で、嫌みっぽく書いたり、あきらめ口調で退廃的な意見を書いてたり、いろんな書き方をしています。中にはいい疑問もあれば、逆に誉められないあきらめもあるかもしれませんね。もう一度、大切なたことを見つめようとし、自分自身の感受性を失わないようにしなければいけないのでしょうね。

茨木のり子の訃報に触れて、なんとなくそういう、大げさに言うと詩人の魂みたいなものを再確認したような気がします。

ええと、こんなページがありました。どうやら立花隆ゼミのひとつの研究(課題学習)として作ったページのようです。

わたしの転載したかった「自分の感受性くらい」も載っていますし、その他いくつかの茨木作品を結びつけながらの考察も載っています。写真掲載もあるし、マスコミもとりあげたとあるところを見ると著作権などはクリアしていることと思われます。よろしかったら、どうぞ。おもしろいと思います。もちろん「茨木のり子」以外の人のページも。

末筆ながら茨木のり子さんのご冥福をお祈りします。



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削除部分注--とんでもない間違いでした。この企画は、立花隆ゼミの企画で「世のさまざまな有名・無名の方の二十歳のころを聞いて回り、本にまとめてみようという」ものでした。誰かの「考察」ではなくて、茨木のり子自身へのインタビューであって、つまり、茨木のり子が自分の詩について、背景などを語っているものにほかならないものでした。お恥ずかしい。
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