David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

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「魔術/美術」展~愛知県美術館

2012-06-06-Wed
こんなチラシを見たら、お、行きたいかもって思いませんか。
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この子どもの眼差しがいいですね~。

中澤英明の「子供の顔」シリーズだそうです。
→ 中澤英明

わたしはこの子どもの目に惹かれて、見に行きたいと思いました。「視の技術と内なる異界」というサブタイトルにも興味があったので。

しかし、正直、ちょっと盛り上がりに欠ける展示でした。「幻視」や「魔術」を標榜したにしては、少々、展示的に散漫でピントを絞りきれてないのではないかなと感じたのです。なんだろ、そもそも、「すべての美術はなにかしら魔術的なんです」というの視点に立ってしまうのは、ちょっと、魔術というよりも詐術という感じさえします。すべての芸術は内なる異界を秘めているはずですし、それがなければ、芸術たる資格はないとさえ言えると思いますね。ま、芸術とは何かという根源をテーマにしているというのであれば、それはそれでいいのですが、それには、こんなポスターで魔術を表に出す必要があったのだろうかと……。

ま、つまらない展覧会ということはないんです。おもしろい作品もたくさんありました。

一番は「子供の顔」シリーズの6点と、個人的には山本芳翠の「浦島図」が印象に残っています。他の作品が、比較的小さなものが多かっただけに、この絵の圧倒的な存在感に目を奪われました。何より、あの浦島太郎伝説の、竜宮城から帰ってくるシーンをこんなふうに描いている、着眼とその解釈に感動しました。わたしは、てっきり、行きと同じように、亀が一匹で連れ帰ったものと思っていたのですが、なるほど、おそらくは竜宮城史上最大級のVIPであったはずですから、盛大に見送ったに違いありません。あの、しがない漁師の太郎が、王子のように出世して、言わば凱旋帰国を果たすはずだったのです。それは、パリで西洋画の技法を学び、日本に伝えようとする作家自身の姿と重なるではありませんか。太郎が手にしているのは、西洋画の技法であり、引き連れている乙姫は、まさしく西洋画の日の女神であるように思われます。


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「誌上のユートピア」展~愛知県美術館

2008-07-08-Tue
愛知県美術館で開催中の「誌上のユートピア 近代日本の絵画と美術雑誌 1889-1915」展に行ってきました。
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 → 愛知県美術館のサイト
 → 美術館連絡協議会:「誌上のユートピア」のページ

19世紀末から20世紀初めにかけての約25年間、まさに世紀末から新世紀へという、夢や希望にあふれる時代だったのでしょうが、科学技術の発達もあってさまざまな変革ががあったわけです。美術の歴史のなかにおいても「美術雑誌」が、印刷技術の発達とあいまって、盛んに作られ、また注目された時代だったようです。この「誌上のユートピア」展は、その時代の日本の美術雑誌を多数紹介しながら、「その芸術的価値を再認識し、同時代の近代絵画にも注目しながら、それらが相互に共鳴するさまをご紹介しようとする愛知県美術館の「見どころ」のページより)というのが中心です。

まず、サロメのピアズリーほか、ドイツやイギリスの「美術雑誌」が展示され、ヨーロッパの美術雑誌が紹介され、それが日本における『明星』や『方寸』などへのつながっていったというような感じで展示されているのだと解釈しました。わたしは美術展などは、好きでときどき見に行くのですけれど、今回の展覧会はとても興味深いものでした。

日本の近代の詩歌は、浪漫主義(「明星」「白樺」など)、写実主義(「ホトトギス」、「アララギ」)、象徴主義(朔太郎)などという文芸思潮で語られるのですが、美術的な展開もよく似た流れになっていたのだということが納得されました。『明星』の実物が見られ、一条成美(第6号表紙)が展示されて、10冊余りおの藤島武二の表紙が並びます。風俗壊乱で発禁になったという、一条成美の8号の挿し絵が見てみたかったですが、なかったのは残念です(この発禁処分の責任を取って一条成美は退社、藤島武二が表紙を担当するようになったのです)。
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▲この「みだれ髪」のデザインも、まさにアール・ヌーボです。


「白樺」の表紙はそれほどでもなかったのですが、北原白秋の詩集「邪宗門」の挿絵や、蒲原有明の「春鳥集」(読んだことはありませんでしたが)見られたのはおもしろかったです。美術と詩歌が非常に近かった時代だということを感じました。そして、恩地孝四郎や田中恭吉の「月映」と朔太郎「月に吠える」が最後のあったのですが、なんだか、ちょっと付録みたいな感じがしました。象徴主義ということになるのでしょうが、「明星」ほどの華やかさがないのですね。「三越」のようなのびやかな感じや、神坂雪佳のあたたかさもない、「月映」や「月に吠える」には、隠花植物のような、日陰というか、闇に光るというか、そういう、暗さが特徴のように思いました。うまく言えませんけれど。

個人的に作品としておもしろかったのは、岡本伊作の「宇宙」と田中恭吉の「バラの棘」。

「バラの棘」はなぜだかこちらに大きな画像がある。最初はバラの棘で顔が傷だらけかと思ったのだけれど、よく見たら顔中に「バラの棘」がくっついているということのよう。この女の人(?)はバラの精かなにかなのか、ま、「美しいものには棘がある」という言葉そのものを作品にしたのかもしれないのだけれど、この人の、ちょっとイタズラっ子のような目もいい。

「宇宙」はなんというか、「色鮮やかに輝くエネルギーの奔流」をそのまんま絵にしたような、すごい作品でした。習作なんだそうです。なんか、論文というか意見文の載ってる雑誌(「芸術と科学」だったかな?)が展示されていて、ガラス越しに読んだら、「写実を書かないわけではないが、写実を書いていると心だけではなくて、その回りのものも書かなくてはならなくなって、本当に書きたい心が薄れていく。本当に書きたい心だけを書くには抽象画でなければならない」みたいなことが書いてあって、ああ、理屈っぽいが、わかりやすかった。この文章を読む前に、「宇宙」を見たわけだけれど、まさに、闇に光る星々の総体が宇宙の写実なんだろうけれど、それは宇宙の本質じゃなくて、無限のエネルギーの奔流こそが宇宙の本質だと表現したいんだと思ったので、とても興味深かったのです。

そして、合わせていうと、これは、朔太郎の詩論にちょっと似ているんですね。朔太郎は「月に吠える」の序で確か、水を恐れる人を使って「詩とはなにか」を説明していました。「水が怖い」ということが言いたいのでなくて、「どういう具合に怖いのか」ということを表現するのが(朔太郎の)詩だと。

メインは藤島武二や「三越」、神坂雪佳なんでしょうけれど、わたしには、恩地孝四郎や田中恭吉の隣に西村伊作が展示されているがとてもよかったと思われました。それは、偶然か必然か、あるいは展示者の意図かはわかりませんけれども。

というわけで、いつか田中恭吉か西村伊作を尋ねるチャンスがあったらいいと思います。


▲今回の目玉の一人。神坂雪佳。

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「若冲と江戸の画家」展/愛知県美術館

2007-05-26-Sat
先日、久しぶりに愛知県美術館に出かけました。若冲(じゃくちゅう;→wikipedia:伊藤若冲)が来ているので(2、3年前偶然六本木ヒルズでみました)。
 → 「プライスコレクション:若冲と江戸会画展」公式サイト
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半数以上の作品をガラス無しの露出展示ということで、直に見られるわけでして、ま、だから別にどうっていうほど、実はわたしは絵がわからるってこともないのですが。

これだけ写真やCGの技術が進んでいる現代、またさまざまなメディアで多くの美術作品に触れることができるなか、若冲のすばらしさやすごさは展示会にいけばすぐにわかるでしょう。

わたしでも知ってる代表作は二つあります。一つは鶏の絵ですね。正確には「紫陽花双鶏図(あじさいそうけいず)」(→画像)です。音声ガイドによると実際若冲は鶏が書きたくて庭に多くの鶏を放し飼いして、それで書いたそうなんです。細密な写生画のように書かれているのですが、実際はその写生画であるべき中に、若冲の創造である羽や毛がかかれているようなんですね(展示会では音声ガイドをぜひお薦めします!)。
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また、もう一つの有名なのは象の絵ですね(鶏の絵と並んでポスターになってます)。正確には「鳥獣花木図屏風(ちょうじゅうかぼくずびょうぶ)」(→画像1画像2)。これはぜひ実物を見て欲しいです。西陣織にヒントを得たモザイクたっちのものづくし的デザインです。屏風ですので大きいです。そこに画面一面に、デザイン画のように象、虎、バク、クジャク、鶏、猿、ラクダ(?)、麒麟、ロバ、鹿などなどいろんな動物が書かれていて、見るものを飽きさせません。日本人の若冲がこんなものを見たことがあるはずがないので、いろんな情報を画家なりに想像して書いたのでしょうが、どんなことを狙って書いたのかとっても興味がありますね。

あと、若冲ではないのですが、白象と黒牛が面をつきあわせる屏風もいいです。作者は長沢芦雪(ながさわろせつ)。正確には「白象黒牛図屏風」というやつですね。これがすごくおもしろい! (→画像)」

など、掛け軸や屏風を中心に109点が展示されているようです。

すばらしい企画としては「簗図屏風(やなずびょうぶ)」を、時間とともに色が変化する照明を当てて見せてくれるというのがとてもよかったです。(→画像

この「簗図屏風」は作者不詳なのですが、全面の金色です。普通の美術館の展示だと、ま、美術館の設置した照明で見るわけですが、ま、ここでもそういう意味では同じなんですけど、その照明が自然の光のように変化するしくみになっています。比較的青白い色から、夕焼けの色のように緩やかに変化するのですね。それを屏風の金色が反射する。空いてるときにいけば、真ん中のソファーに陣取って、遠目からゆったりとそれを眺め渡すことができます。若冲の作品じゃありませんけどね(同じ照明を変化させる展示法で若冲が描いた「黄檗山万福寺境内図」も見せてくれます)。
 
 → 愛知県体育館の公式ページ



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