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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

「視覚の魔術-だまし絵」展~名古屋市美術館

2009-04-30-Thu
名古屋市美術館で開かれている「視覚の魔術-だまし絵」展を見にいきました。

「だまし絵」というたいうことで思い出すのは、エッシャーとか、マグリットです。おなじみの作品も展示されています。企画側の今回の目玉はポスターにもなっている、この一枚の肖像画です。

damasieten.jpg

上の絵は公式サイトのトップをそのまんまコピーさせてもらいましたが、これが今回の目玉です。16世紀にハプスブルグ家に仕えた宮廷画家ジュゼッペ・アルチンボルドの日本初公開作品です。「ウェルトゥムヌス(ルドルフ二世)」の「肖像画」として書かれながら、四季の果物や野菜、穀物を巧みに組み合わせて描いています。トリックアートでは「ダブルイメージ」という手法に分類される作品ということです。会場ではどこでどの野菜がつかわれているかということを細かく説明してあります。時間があればじっくり見られると思います(わたしが行ったのは休日で大変混雑していました)。

上のアルチンボルドの「ウェルトゥムヌス」と同様の手法の歌川国芳作品もあります。裸の男を集めて一人の男の顔をつくっているような作品や、猫の顔が数多くの猫の集合でできているとうような作品。これもどこかで見たことがある……。こうした寄せ集めだけがダブルイメージというわけではなくて、一枚の絵に表に表れたものとさらぶ別のものが隠れるように描かれているようなものを言うようです。うまくいえませんが。

もう一つ、「トロンプルイユ(trompe-l'œil)」というフランス語が紹介されています。「目を騙す」という意味なのですが、まさに「だまし絵」ということです。家具屋で本箱の展示をしているのをみるとダミーの百科事典や書籍が入っていることがありますが、ま、その絵画版とでもいいますか、戸棚や状差し(レターラック)を本物そっくりに描いて、実物の雑貨や手紙があるように思わせる……そうした作品です。ヨーロッパやアメリカで大流行したというような説明もされています。また、石造そっくりに描いた一枚の板。遠めに本物の石造ですが、横にたつと平面板だとういうことがわかります。、しかも時代を経てだったと絵画があります。こうしたものは、芸術、美術というよりは、広告が華やかな現代社会ではいくらでもあるようにも思います。ただ、写真やコピーの技術が一般にひろがっていなかった時代には、特殊な腕前を持つ人たちの特別な技であり、さらに、芸術作品といえるものはその一部なのでしょう。

日本でも、「描表装」(かきびょうそう)という手法があります。本来掛け軸は絵なり書なりを画家や書道家が、それを表装して一枚の掛け軸に仕上げていくのは別の職人(表装職人?)の仕事なわけです。ところが、画家の側がその表装が担当する部分をあらかじめ絵で描き込んでしまうという手法が「描表装」で、これも一つの「だまし絵」という解釈で展示されてます。

「ダブルイメージ」や「トロンプルイユ」の手法、そして、「アナモルフォーシス」と「さや絵」など、いろんなだまし絵の手法を欧米と日本から紹介するというのも一つのこの展覧会の特徴でありみどころです。

……ですが、わたしが見て一番すごかったのは、パトリック・ヒューズの「水の都」でした。これはすごい! 順路に従っていくと、ちょうど正面からその作品と対峙することになるのですが、その配置がまたすばらしかったのでしょう、その立体感は驚愕といっていいです。思わず声をあげてしまいます。そして、絵を見たまま、右にうろうろ、左にうろうろ……。こんなことできるはずがないと思って、近づいたり、遠ざかったり、EXILEさながら絵を見つめたまま、身体をグルグル回してみたり……。それでも絵は着いてきます。着いてくるといっても後を着いてくるわけではなくて、奥行きというか、立体感というか、3Dの状態を忠実に維持します。横だけでなく、上下にも! そして、それは、コンピュータなどによる映像のトリックではなくて、ちょっとした工夫によってもたらされているのです……。ちょっと進んで隣の作品の前まで行き、振り返ってほぼ真横から「水の都」を見るとそのからくりがわかります。そのあまりの単純さに、え? こんなことでと改めてビックリ! 戻ってもう一度作品を見ると納得します。わかってみるとちょっとアレなんですが、実際見て驚いて見てほしいです。
 → 特別展「視覚の魔術-だまし絵」展ブログ:「話題の「だまし絵」作品その1
 → パトリック・ヒューズのホームページ

途中で、零円札もやがて登場するのかと思って見ていましたが、今回のトリックアートの中では紹介されていませんでした。特別展時間をとられて常設展まで回れなかった(その後大須へ行ったし)のだけれど、時間にゆとりがあったらどうぞ~。

■Note■□■□■□■□■□■□■□
開催期間:2009年4月11日(土)~6月7日(日)
開館時間 :午前9時30分~午後5時 金曜日は午後8時まで 
休館日:毎週月曜日(ただし5月4日(月・祝)は開館し、5月7日(木)は休館)
 → 公式サイト
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「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代展」~名古屋市美術館

2008-11-03-Mon
先日、大須演芸場で行われた第1回雷門獅篭独演会(「雷とマンダラ」発売記念独演会)に行くのに、せっかくなので、前座として、名古屋市美術館でピカソを見てきました。

pica01.jpg

美術展は好きで時々いくのですけれど、絵の知識があるかというか、別に詳しくありません。ピカソは知ってますが、クレーって誰?ってなレベルです。上の看板に右上から「ミロ」「マグリット」「マティス」「シャガール」「カンディンスキー」と並べられても、代表作がわかるのはマグリットとシャガールくらいで、ミロとかマティスはたぶんアレってくらいでして、カンディンスキーとなると初耳で、この展覧会を見たあとも記憶に残っていません。そもそも、体系的に絵を見ようなんて考えていないので、作者名より先に絵を見て、あ、これはいい、誰の絵? ってな感じで、名前が頭に残った人が、わたしの中に残るという……、そんな感じで見てるもので。

で、今回の「ピカソとクレー展」で最も印象に残ったのは、ピカソでもクレーでも、ミロでも、マティスでも、マグリットでもシャガールでもなくて、マックス・ベックマンというドイツ表現主義の画家の「夜」という作品でした。
 → こちらに「夜」が見られます。今展示会の作品紹介にも載っています

最初、中世の魔女狩りに題をとったかと思いましたが、第1次対戦後の混乱したドイツのある家族の惨殺事件を自己の体験に基づいて描いたものだそうです。その重苦しい絵は、惨殺された被害者の家族の痛みよりも、普通の市民をなぶり殺しにしてしまう普通の市民の、狂ったような力強さというか、そういう狂気の当たり前さというか、時代の恐ろしさを感じさせます。展覧会は1階の通路ような位置でこのマックス・ベックマンの「夜」を見たあと、順路に従って2階にあがります。出口に近いあたりにマグリットの絵があって、その隣が吹き抜けになっていて、そこから1階の展示室の一部が見えるわけですが、身を乗り出すとこのマックス・ベックマンの「夜」を、上から見下ろすことができます。あるいは、作家はこの角度で、この証明で見ることを想定して描いたのではないだろうか……そんな錯覚を持つほど、それはあたかも地下のような暗い夜の底の日常で、その悲惨な事件が起きていたということを感じさせます。ネットで見るような白々とした感じはなくて、とても深みのある作品に思われました。
 → バーチャル絵画館:「マックス・ベックマン」 
 → ベックマン (世界の巨匠シリーズ)

あと、ミロやクレーを見ていて、こういう抽象的な絵の面白さがなんとなくわかるような気もしてきました。このことはまたいつか書いてみたいと思います。

□■□ NOTE □■□■□■
開催期間:2008年10月18日(土)~12月14日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時(金曜日は午後8時まで)
       ※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日
       ※11月3日(月・祝)、24日(月・祝)は開館(それぞれ翌日の火曜が休館)
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「版」の誘惑展の帰りに大須演芸場に寄ったら……。~名古屋市立美術館

2008-08-24-Sun
名古屋市美術館開館20周年記念特別展は「版」の誘惑展でした。先日行ってきました。
han_02.jpg
 → 名古屋市美術館特別展「版」の誘惑展のページ

「版」というのは、一応、版画ということになっています。赤瀬川原平の千円札の模写(復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る))や、零円札、零円札による梱包などは今までたびたび展示されてまして、ま、わたしとしてはそれも一応満足なんですが、たが、果たして今回あんだけのスペースをとって展示する必要があったかと思いますよ。ま、迫力はありましたけど(笑)。


「全面自供」~千円札裁判や路学会のことなど全面自供!


今回の展示の特徴は、展覧会の入り口でもらえるCDケースの1.5倍くらいの大きさの小冊子にあります。26ページからなるこの小冊子は、各ページに一つずつ質問が書かれています。たとえば、赤瀬川原平の展示は5番に相当するのですが「作者は、この大きな千円札を、どんな方法で作ったのでしょうか。」「作者は、この大きな千円札を、どんな理由で作ったのでしょうか。」というような質問が書かれています。その質問を展示を見ながら考えてみましょうということですね。
han_01.jpg

印象に残っているのはラインハルト・ザビエの「収容所で」という作品。「ユダヤ人としての自画像」もおもしろかったのですが、「収容所で」の色使いと鏡(ガラス?)と暗さの効果、抑圧感というか抑鬱感というか、忘れられませんでした。現代美術が、常識の隙を付くというか、意表をつくような作品が多いの対して、このザビエは手法としては新しく実験的なものもあるのでしょうが、テーマというか、問題意識が伝統的というか、わかりやすく、この展示の中ではそこがよかったのかもしれません。

一人の作家や一グループ、もしくは一つの潮流(思潮というか)を扱った展覧会はよくあるのですが、今回は、「版(=プリント)」という手法を切り口に、浮世絵や版画(浮世絵も版画ですがw)、写真を使った作品など、多彩な作品に出会うことができておもしろいと思います。

帰りに大須演芸場に寄ったのですが、その時の話しは、追記に……。

「アメデオ・モディリアーニ展」~名古屋市美術館

2008-04-13-Sun
「神に愛された天才」というキャッチのついた「アメデオ・モディリアーニ展」を見に、名古屋市美術館に行ってまいりました~。開館20周年記念とも銘打たれています。

kanmodi.jpg


なんで開館20周年を記念してモディリアーニかというと、ま、名古屋市美術館が代表作の一つ「おさげ髪の少女」を所蔵しているからということもおそらく関係があるのでしょう。lなにせ、この「おさげ髪の少女」は赤瀬川原平の書いた「日本にある世界の名画入門 美術館がもっと楽しくなる」 (知恵の森文庫)でも、冒頭(2番目だったかも?)に来るくらいの一品ですので、美術館側とししても大いに宣伝したいところなのでしょう。

日本にある世界の名画入門 美術館がもっと楽しくなる (知恵の森文庫)
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おすすめ度の平均: 5.0
5 日本在住?の世界の名画 赤瀬川原平流 懇(ねんご)ろ鑑賞術〜

国内外の美術館や個人所蔵家から厳選された油彩、水彩、素描など、日本初公開作品多数を含む、50数点の名作によって、伝説に包まれたこの画家の生涯と作品の本質に迫ります。
  → 公式案内ページ

とありまして、またこちらには主な展示作品が数枚絵入りで載ってます。

ちょっと珍しい企画としては、展示場の終わり近くに「モデルになった人々」なんてコーナーがあって、実際にモディリアーニのモデルとなった人たちの紹介が写真入で10数枚パネルになっています。多くの人が、実際のモディリアーニの絵よりもふっくらとしています。逆に言えば、モディリアーニは実物よりもかなり小顔でそれもほっそりと描いたということがうかがえます。また、初期の影響関係をうまく年代別にまとめてわかりやすい展示になっていると思いました。わたしはけっこうこの名古屋市美術館の展示は気に入っています~。

モディリアーニは、正直今まで特に好きな画家でもなかったわけですが、両目を塗りつぶすとか片目だけを塗りつぶすとかそういうのを、考えるだけでなくて平気で絵の中でやってしまうのがすごいと思って、そこにとても感心しました。

美術館のイベントのお知らせでしったのですが、アンディ・ガルシア(「オーシャンズ11」の敵役)が主演で「モディリアーニ 真実の愛」(2004年 仏・英・伊) って映画ができていたのですね(イベントの一つとして美術館でこの映画の鑑賞会があります。そのほか関連イベントには、音声ガイドを担当している女優真野響子のトークショーなどもあります。→ 関連イベントのページ

モディリアーニ 真実の愛
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4 激情
2 アメリカ人が描いたパリ芸術
1 下劣な空想でモディリアーニを貶める三文映画
5 モディリアーニの葛藤と頑固なまでのプライド
4


■展覧会の情報■
開催期間 2008年4月5日(土)~6月1日(日)
開館時間 午前9時30分~午後5時 金曜日は午後8時まで
      (入場は閉館の30分前まで)
休館日 曜日 (5月5日(月・祝)は開館、5月7日(水)は休館)
観覧料
 一 般 当日:1,300円・前売、団体:1,100円
 高大生 当日:900円・前売、団体:700円
 小中生 当日:600円・前売、団体:400円

こちらのページに割引券(当日100円引き)があります。





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