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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

「意識の襞 星野眞吾展」~豊川市桜ヶ丘ミュージアム

2008-12-02-Tue
先日、豊川市桜ヶ丘ミュージアムで開催している「意識の襞 星野眞吾展~パンリアル美術協会の揺籃期とともに~」を鑑賞してきました。
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▲ポスター
 → 豊川市の同展覧会の案内ページ

星野眞吾は時々岡崎市美術博物館で見ている画家なので(題名までは覚えていませんが「柩」というようなタイトルだったと思います)、ひょっとして三河地方の出身かというぐらいには思っていたのですが、今回の星野眞吾展に行ってみて、豊橋市の出身ということを知りました。豊橋市出身の、それも近代美術史を語る上ではそれなりに著名な画家の一人であるようです。

もちろん、ご存知でない方もいらっしゃると思うのですが、上のポスターは、星野の代表的な手法である「人拓(じんたく)」という技法によってできています。人拓とは人間版の魚拓です。「魚拓」というのがありますね、釣りを趣味にする人たちが、大物を釣り上げたりしたときに、魚の形をそのまんま版画のように写し取るという……、魚なので「魚拓」、人間なので「人拓」です。

星野眞吾は若い頃、「パンリアルの会」というサークルというか、同人に所属していました。戦後期の苦しい日本社会にあって、画家とは言え漫然と「花鳥風月」のような美を追求していられない、もっと問題意識を持って現実を描こうとすべきである(というような主張だと、わたしは理解しました)というような主張から、メンバーたちは、まだ若くして技術的には未熟なものがあっても、試行錯誤的、実験的にさまざまな手法を研究し合い、切磋琢磨相互の影響されながら、それぞれの手法を確立しようとしていたのです。それが「パンリアルの会」なのです。

星野眞吾は、その中で、たとえば。和紙を細く千切って、海草や髪の毛のように並べて貼り付けて、襞のような質感を出したり、蚯蚓とも、人間ともつかない目を持ったワームようなものに、会議をさせたり、とぐろを巻くように連ねたりしたり、あるいは割れた器や、切れた電線などを好んで描いてみたりなどして、新しい手法の確立や、自分自身の内面をいかに描き出すかということに工夫を凝らしていたよのでしょう。

今回の「意識の襞 星野眞吾展~パンリアル美術協会の揺籃期とともに~」は、星野眞吾の、いわば修行中であった「パンリアルの会」時代のもの、そして、その後も完成期のもの、晩年のもの、そして絶筆へと、時代を追って、星野眞吾の歩みがわかる展覧会になっています。

ちょうどわたしが行った日は、「ギャラリートーク」の開催日で、若い研究者(学芸員?)が、およそ1時間かけて、見所やエピソードなどを交えながらいっしょに回ってくれました。もし、時間の都合さえつけば、ギャラリートークに参加するのが、わかりやすく、楽しく見られると思います。全部回った後に、「質問はないか?」と聞かれたので、わたしは、確か途中で説明があったであろう「人拓」の作り方について質問し、繰り返して教えてもらいました。

「人拓」は、モデル(当初は星野自身がやったが、後に、妻となる画家の高畑郁子がやったり、あるいは別の人がやったりした)の身体に糊(のり)を塗ります。手なら手に、足なら足に、全身なら全身に塗ります。そうしておいて紙の上に身を投げ出すのです(もちろん、身を投げ出すのは全身に糊をつけた場合で、手なら手だけでよく、足なら足だけで構いません)。すると、そこに、人の身体の形にべったりと糊(のり)がつきます。星野の場合は、そこに、色のついた粉状の絵の具を降りかけたそうです。当然ですが糊(のり)のついてる部分にだけ絵の具の粉がはりつきますね。こうして、「人拓」ができるのです。当初は星野自身でやったのですが、糊というのは当然乾きます。作品側の糊も、肉体側の糊も乾きます。自分の身体に糊をつけたまま製作するというのも不都合で、次第にモデルにやってもらうようになったと、学芸員が言ってました。

星野はその人拓を切り抜いて、好きなように配置して作品に貼り付けて、さらにそこに絵を書き足すという手法で「人拓」の技法を使った作品を創作し続けていきます。ポスターに採用された絵は、下方に足の平が、また、中央から上全体には、まるで曼荼羅図の前に立つ千手観音のような「人拓」が切り貼りされています。これは、星野眞吾の父親の死に際して作られた作品で、敬愛する父が死後、成仏を遂げ、また千手観音のようにいつまでも子(眞吾)を見守り続けるというようなイメージで作られているそうです(確か、こんなようなことをギャラリートークの方がおっしゃってました)。

東京近代美術館、京都国立近代美術館、京都市美術館、福井県立美術館などに所蔵されている星野眞吾の作品を集め、星野と同時代のパンリアルのメンバーたちの作品も併せて100点近い作品展で見ごたえがありました。

□■□ NOTE ■□■□■□■□■□■□■
会期 平成20年11月22日(土)~12月21日(日)、月曜日休館、ただし11月24日(祝)は開館
時間 午前9時30分~午後5時、11月22日(土)のみ午前11時から、入場は午後4時30分まで
会場 豊川市桜ヶ丘ミュージアム全展示室
観覧料 一般600(400)円、学生は学生証の提示で無料、高校生以下無料
 → 展覧会割引券

関連行事
◎記念講演会「忘れ難き出会い-三上誠と星野眞吾の日本画-」八百山登氏(元福井県立美術館副館長)
11月22日(土)午後2時~|無料|豊川市桜ヶ丘ミュージアム2階会議室

◎記念対談「星野眞吾とパンリアル」
高畑郁子氏(故星野眞吾夫人・創画会会員)と大野俊治氏(豊橋市美術博物館主任学芸員)による対談
11月29日(土)午後2時~|要当日観覧券|豊川市桜ヶ丘ミュージアム2階会議室

◎講演会「意識の襞 星野眞吾とパンリアル美術協会の揺籃期」森田靖久(当館学芸員)
12月7日(日)午前10時~|無料|豊川市桜ヶ丘ミュージアム2階会議室

◎ギャラリートーク(学芸員による展示解説)
11月30日(日)、12月6日(土)、12月14日(日)、12月20日(土)|それぞれ午後2時から|要当日観覧券|豊川市桜ヶ丘ミュージアム1階受付へ

◎ワークショップ「人拓で年賀状をつくろう!」
12月7日(日)、12月13日(土)それぞれ午後2時から|参加無料|要申込|
豊川市桜ヶ丘ミュージアム2階実習室|定員20名
 
                              □■□■□■□■□■□■□■

参考
 → 東日新聞の記事

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「里帰りうなぎ」って何?~一色町のうなぎ産地問題

2008-06-19-Thu
ウナギは回遊魚なんです。

たとえば、マグロも回遊魚ですね。潮の流れに乗って海を泳ぎまわってるわけです。もちろん、一定の海流ののって「回遊」しているわけでしす。ちなみに、Wikipediaで「回遊魚」を調べると、「死滅回遊」という恐ろしくも、はかなげな言葉に行き当たります。

回遊性を持たない動物が、海流に乗って本来の分布域ではない地方までやって来ることがある。これらは回遊性がないゆえに本来の分布域へ戻る力を持たず、生息の条件が悪くなった場合は死滅するので、死滅回遊(しめつかいゆう)と呼ばれる

ただ、100パーセント意味がないかというと、そうでもなくて、

無駄死ににもみえるが、もし海の向こうに生息に適した場所があれば定着し、新たな分布域を広げることができるので、全くの無駄死にではない。また、気候変動や海流の流路の変動があれば、それまで死滅していた地域で新たに定着できる可能性もある

などとも書かれています。漂流の果てに新天地が開かれるということのあるのですね。

閑話休題。さて、そういう回遊魚が食卓に上る場合の産地はどうなのかって話ですね。そもそもが回遊してるわけですし、中には死滅回遊であらぬところで漁網にひっかかり、泣き面に蜂みたいな魚もいるわけですし。で、一応、日本の場合は「原産地または陸揚げされた土地」ということになっているようなんですが、実際は同じ公海上のごく近い海域で、日本の船と外国の船が同じ魚群を獲るということもあるのでしょう。しかし、そんな場合でも、こんなふうになっているようです。

日本の領海内であれ、公海上であれ、日本の船が漁を行った場合は、国産品の扱いになりますので、水域名を表示します回遊魚等で水域をまたがって漁を行い、水域名が特定できない場合には、水域名に代えて水揚げされた港名または港の属する都道府県名を表示します。なお、水域名に水揚げされた港名または港が属する都道府県名を併記することも可能です。
 外国の船が漁を行い日本の商社が買い付けた場合は、輸入品の扱いになりますので、原産国名を表示します。原産国は、漁が行われた国です。ただし、公海上で漁が行われた場合は、漁を行った船舶が属する国が原産国となります。なお、原産国名に水域名を併記することも可能です

(農水省:「消費者の部屋」)じつは同じ水域の魚であっても、日本の船が獲ったかで外国の船が獲ったかで国産品か輸入品かが分かれてしまうんですね。やむを得ないんでしょうけれど。ま、そのような現状の是非はともかくとして、ここで言っておきたいのは、そもそも、魚にとって、というのはつまり、食用の魚の生産者や流通関係者にとって、できるだけ売れるような産地表示を選択するという土壌があるのですね。もちろんそれだって、当然、定められたルールの範囲内での話ですけれど。

一方で、この数年起きている、輸入ウナギの安全性の問題があります。ひょっとしたら、輸入ウナギの安全性で問題とされた台湾や中国の原産地側ではすでに対応済みなのかもしれませんが(だってだいぶ前で、売れなくなって久しいですから)、そうだとしても、農産物や加工食品の事件もあって、おそらく全然イメージが回復てないと思います。「ウナギの輸入品=中国産=危険」みたいなイメージが定着してしまってると思うのですね。

さて、ウナギは回遊魚なんですけれども、日本で消費しているウナギのほとんどは養殖です。ですから、生まれてから死ぬまで(というか、出荷されるまで)同じ場所で養殖されているんだろうと、思っていました。つまり、一色産(いっしき:愛知県一色町)の養殖ウナギは、一色町で誕生して、一色町で育てられていたのだとばかり思っていました。ところが違うのですね。

日本うなぎの生態は不明な点が多く謎に包まれています。一般に日本うなぎは5年から15年間河川で生活した後海へ下り、その後フィリピン東方海域で産卵すると言われています。生まれたうなぎの幼生は黒潮に乗って東アジアの沿岸にたどり着き冬に川を溯上します。その一部を採捕し飼育するのがうなぎの養殖です
 人工孵化の研究も各試験研究機関で試みられ、その結果人工的な採卵が可能となり孵化までは技術的に確立されましたが仔魚の初期飼育が難しくこの先の技術開発に大きな期待が寄せられています。
 → 一色うなぎ漁協:「うなぎの話」

つまり、「稚魚(でいいと思うけど)を捕獲し成魚に育てる」というのがウナギの養殖なんです。すでに「原産地」といわれたら、捕獲の場所? 養殖の場所? ということになってきそうです。でも、この場合、稚魚を成魚に育てたのだから養殖の場所を原産地にすると言われても、よさそうです。

じゃ、複数の場所で養殖したときの原産地はどうなるの? というのが、今回の問題らしいのですね。

愛知県によると、JAS法では、ウナギが複数の産地で育てられた場合、最も飼養期間の長い場所を原産地として表示する
 → 中日新聞:「鹿児島産ウナギを「一色産」 愛知県、漁協を行政指導」(2008年6月17日 夕刊)

なるほど。果たして運搬のコストやリスク(魚が弱るなど)を含めて採算があうかどうかわからないのですが、あくまで机上の理屈で考えれば、1日差でも飼育日数が長ければ産地表示が可能なわけですから、産地表示による商品価値が高まるということを考えると、外国である程度のところまで飼育させて、品質に合うものだけを輸入し、さらに飼育して国産としてブランドを高めて売るということも可能ということなんですね。

これをきちんルール内でしていたら、とりあえずの問題にはならなかったのだろうし、採算も合うのでしょう。特に、「外国産のウナギ=不安」みたいな印象ができてしまっていることもあって、双方の利害が一致しているのでしょう。

そこで、謎なのが「里帰りウナギ」です。

 日本で育ったウナギの幼魚(黒子)を海外に1度、輸出し、一定期間、成育させた後に日本に逆輸入したウナギは「里帰りウナギ」と呼ばれ、国内での成育期間の方が長い場合は輸入品でも「国産」として表示ができる。

 同漁協は育ちの悪かった黒子1トンを昨年11月に徳島県の業者を介して鹿児島県の業者に販売。鹿児島県の業者が台湾の養殖業者に販売し、さいたま市の商社が今年1月から4月まで同漁協に約72トンを販売した。
 → 中日新聞:「同記事

「里帰りウナギ」ってネーミングはそれはそれでけっこうなんですけど、別に、「里帰り」でなくても、飼育期間が長い方を産地表示するという原則でいけるんじゃないでしょうか?(ここ疑問です)

そして、もう一つ。日本で育ちの悪かった子ウナギが、台湾で立派に育つんでしょうか? もちろん、ダメものと値段で台湾が買っていくんでしょうけど、じゃそれが育ってきましたよ~って戻ってきて、果たして区別が付くんでしょうか? そのあたりは、ビジネスであり、また、信頼関係であるということになるのかもしれませんが、「里帰りウナギ」ってしくみはなんだかちょっと養殖というより、増殖のような気がしてなりませんね。

ま、そこが問題だったんでしょうけど。

わたしウナギ大好きでした。同じ愛知県人としても、今回の事件は非常に残念ですし、ウナギ好きの一市民としても、残念でなりません。

一色うなぎ漁協にはこんなお詫び文が掲載されています。

            お詫び

 当組合は仕入先から、平成20年1月20日から4月22日までの間に活鰻を72トン購入し、仕入先の産地証明書に基づき国産及び一色産として販売いたしました。
 この産地証明書については、国及び県による調査の結果、当組合が国産及び一色産として表示販売したうなぎが、一色産でなかったことが判明いたしました。
 産地証明書の誤りに気づかず、このような事態となり、関係取引先の皆様ならびに消費者の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
 当組合といたしましては、今後二度とこのようなことがないように事業管理の徹底に努め、事業に取り組んでまいる所存でございます。重ねて深くお詫び申し上げます。

                  平成20年6月17日
  
                    一色うなぎ漁業協同組合
                      代表理事組合長 大岡宗弘

漁協という組織がどんなもので、どのくらいの人たちが関係していたのかわかりませんが、農水省の「養殖うなぎの原産地表示の適正化について」には、

(1)一部の活鰻の輸入業者が、日本及び海外での飼養期間等の書類を整えたが、その事実の確認を一切行わず、結果として事実と異なる養殖場所、養殖期間等を記載した証明書を発行し、輸入した活鰻を国産と産地伝達する取引を行ったこと

(2)一部の養鰻業者が、(1)の証明書の発行に関与していたにもかかわらず、証明書の内容を確認しないまま、日本での飼養期間を証明し、(1)の輸入業者から仕入れた外国産活鰻を国産又は特定の地域名を産地として事実と異なる産地を伝達して加工業者等に販売したこと
また、当該活鰻を原材料として自ら製造したうなぎ加工品に、国産等と事実と異なる原料原産地を表示、若しくは稚魚から成鰻まで自ら生育したうなぎを使用している旨保証する地域ブランド名を表示して一般消費者に販売したこと

とあります。一部の輸入業者と一部の養鰻業者ってのはグルってことですよね……。

ウナギ日本一の「一色ブランド」が、どこぞの料亭のようにならなければいいのですけれど。

ウナギ―地球環境を語る魚 (岩波新書 新赤版 1090)
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おすすめ度の平均: 5.0
5 最大消費国の責務
5 ここがすごかった!ウナギの豆知識!!
5 このままじゃ、ウナギは絶滅だ!
5 うなぎクンのグレートジャーニイ。海路から空路へ。




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「ピカソ展」に行く~岡崎市美術博物館

2007-09-09-Sun
この9月に始まった、ルートビッヒ美術館コレクション「ピカソ展」に行ってきました。

会場の岡崎市美術博物館はけっこう気に入っています。隣接の恩賜苑という公園も、なかなか落ち着いたムードで散策などに最適です(今回ここでケータイ電話を拾うというアクシデントがありました。岡崎市美術博物館のカウンターに届けておきました。幸か不幸か財布を拾ったときのようなドラマはありませんでした。ちょっと遠回りになったくらい~)。
 → 岡崎市美術博物館のページ

わたしが言うのもなんですが、ピカソってやっぱりうまいんですね(笑) ディテールを本当は気にしているのかもしれないし、細かな絵ももちろん描けるんでしょうけれど、やっぱりピカソのすばらしさは、構図とタッチと色使いなんだと思います。当たり前といえば当たり前ですけど。それが大きな絵になって本当に生きるんだなぁとしみじみと思いました。キュビズム自体がそもそもそうなんでしょうけれど、一枚の絵で、深いというか、多面的というか、重層的というのか、いろいろな表情、いろいろな感情、いろいろな部分を連想させて、それがとってもおもしろいと、しみじみと思いました。

もっと知りたいピカソ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
松田 健児 大高 保二郎
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おすすめ度の平均: 4.0
4 ピカソ初心者はこの本から。


会場のカウンターに置いてある「岡崎市美博ニュース/アルカディア」に「剽窃かオリジナルか」(学芸員千葉真智子)という文章があって、ピカソの作風の変化が「剽窃」という言葉で批判されてきたという紹介があります。「剽窃」とは簡単に言えば「人のものを盗む」ってことで、ピカソはいろんな作家の上っ面をほんとうに器用に真似て、しかも次々と取り入れているといころがあるようなんです。そういう影響関係を確かめられるほどわたしは美術史に関する力はないのですけれど、わかるのは、「ピカソ=キュビズム」なんて具合に一様ではないってことくらいでした。

ピカソ 剽窃の論理 (ちくま学芸文庫)
高階 秀爾
筑摩書房 (1995/01)
売り上げランキング: 189232


今回の「ピカソ展」の目玉というか、代表作としては、チケットやポスターになっていた「帽子をかぶった女の頭部」というのがあったのかもしれません。迫力があったのは「銃士とアモール」で、ずっと目に焼きついたの「緑色のガウンの女」の表情だったりするのですが、わたしが興味深く時間をかけて見たのは「ミノタウルス」のエッチングシリーズと、「牧神の頭部」という版画(リノリウム材を使ったもの)を段階的に並べてあるところでした。ついでに、欲しくなったのは「頬杖ついてる顔の水差し」(陶芸)だったりしました。

「ミノタウルス」のシリーズは解説によるとブルトンのシュールレアリズム関連の書籍(雑誌?)の表紙を飾るために作られた作品群のようです。そもそもミノタウルスの伝説はギリシャ神話にあります。頭が牛で体は人間という怪物です。クレタ島の王ミノスが、ポセイドン(海の神)との約束を果たさなかったことで怒りを買い、ポセイドンは牡牛を使わせてミノスの妻を誘惑させ、ミノタウルスが生まれることになるのですね。

王妃と牡牛とに生まれたハーフです。成長するにしたがって乱暴になったミノタウルスに困り、ミノスは迷宮の奥にミノタウルスを幽閉し、9年毎に7人の少年と7人の少女を生贄として差し出すことにしていたのです。ところが、あるとき、生け贄に紛れていたテセウスによって殺されてしまう
という話です。わたしはこんな話を聞くとひどくミノタウルスに同情的になるのですが、どうもピカソの作品を見ていると、そういう神話的なエピソードとは別に、なにか人間の奥底にある性的なエネルギーやその暴発、そしてそれへの罰というような、所謂「罪の意識」みたいなものさえ感じました。ミノタウルスの中に自分自身を見ているんだろうなと思ってみました。
 → ここにピカソのミノタウルスが貼ってあります。あるいはここで検索して表示できます

もう一つ、「牧神の頭部(→ここ)」というリノカット(→Art Words:「リノカット」)の多色刷りの製作段階を並べて展示してあるコーナーで、日本の浮世絵みたいな多色刷りというのは、色別にすり分けて最後に一枚の絵を作るっていうのは、なんとなくわかるのですが、こいつは、茶色の髪に黒インクで、4回くらい刷っておいて、最後に白インクを刷って完成させるってな手法をとっていて、なんというか天才的な手法というか、やっぱりここでもキュビズム?と思うような感じでした。それと、あと思ったのは、「牧神」って何? ってこと。

よくわからないのですけど、一応、ギリシア神話やローマ神話に出てくる半人半獣の神なんですね(→Wikipedia:「パーン」)ミノタウルスよりもはるかに健康的で、のびのびしたイメージがあるものの、やはりどこかに性的なイメージがするキャラクターなんです。そのにこやかな表情にピカソの自己肯定みたいな一面をみた感じがしました。

けっこうおもしろく、ああ、ピカソってやっぱり上手いんだなってしみじみよくわかります。



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カブトムシでビールを釣る~夏祭り

2006-08-01-Tue
わたしの住む愛知県三河地方の祭りでは非常に花火が盛んなのですが、打ち上げ花火や川花火以外に、手筒花火(てづつはなび)というのがあります。きちんと調べてないのでわからないのですが、全国的には三河地方が最も古く、江戸時代からあるようです。江戸幕府は全国的に火薬の製造や貯蔵を禁じていましたが、徳川家の地元であった三河地域にには許可されていて、そこで家康の編成した鉄砲隊が、故郷の子弟たちに火薬の扱いを伝授し、それがやがて祭礼用の献上花火として打ち上げるようになったのが始まりと言われています。
 参考→三河の手筒花火

愛知県三河地方と静岡県の遠州地方で行われる以外は全国的にも珍しいようです。わたしも見てきました。安全のため近くまで入れてもらうわけにはいかなったのですが、こんな感じです。「手筒」という名前でわかるように、それぞれが長さ数十センチから1メートルくらいの太い竹の筒に藁を巻いた手筒を持ち、その口から花火が数メートルの火の粉を吹き上げます。持ち手は頭から火の粉をかぶるかたちになりますね。写真で見ると打ち上げ花火に比べて小さな感じなんですが、実際その場で見ると、人が火を噴き出す筒抱えていて、それが目の前のことなのですから迫力がありますし、怖さもあるのですが、自分でもできるのではないかと思えてきます。
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この写真は豊川市の大社神社(7月29日)のものですが、翌日には歌舞伎行列をおこなわれていました。いわゆる旧東海道を、歌舞伎の中に出てくる若侍とか花魁などに扮した若者たちが、山車(だし)とともに練り歩きます。
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