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補助動詞はひらがな書きが原則と習いました~「ください」「下さい」使い分け

2012-03-23-Fri
最初に、小学校のころに本で読んで覚えているイジワルとんちクイズをひとつ。

友だちが手を骨折して病院に入院した。

見舞いに行くと、そこにあったリンゴあったので、
「リンゴの皮をむいてあげようか」
と聞くと、
「うん、頼むよ」
と言われたので、そのとおりにしたら怒られた。

なぜか?


答えは文章末で示すとして、この問題を思い出したのは、先日、J-CASTのこんな記事を見たからでした。

細かいことは元記事を読んでいただくとして、要するに、「○○してクダサイ」というときの「クダサイ」について、ひらがな書きの方が適当で、漢字で「○○して下さい」と書くのは不適切であると言う人がいたという話です。

おぼろげな記憶ですが、小学校か中学校の国語の授業で、助詞、助動詞はひらがなで書くが、同様に、補助動詞、形式名詞はひらがな書きがよいというようなことを習いました。ついでに書くと、別の先生ですが、副詞も接続詞もひらがなで書くのがよいとおっしゃっていました(今回は副詞、接続詞の話は無関係です)。特に覚えている例は、「見る」「行く」「来る」というような補助動詞については、ひらがなにしなければ意味が混乱するとうようなことを、先生に教えてもらいました。これは、おそらく誰も異存はないことと思います。

「大丈夫かどうか、とにかく行ってミル」という言葉を聞いたときに、二通りの意味が思いつきます。「とにかく、そこに行って、この目で見る」という意味と、「行けるかどうかわからないが、とにかく、行くことを試みる」という意味です。前者のように「見る」という意味が判然としているものを本動詞と呼び、漢字表記を原則とします。一方、後者のように「目で見る」という意味ではなく、上接の動詞(この場合は「行って」)に「試みる」というような意味合いを補うものを補助動詞と呼んでひらがな書きを原則とするのです。ここをいい加減にしてしまうと、意味の混乱が生じるというのですね。

このことは、「見る」だけでなく「行く」「来る」についてもよく出てきます。「明日から勉強してイク」「ここまで努力してキタ」についてなども同様です。こうした混乱が生じるから、切実に、漢字とひらがなを書き分ける必要があるのです。

今回の「下さい」についても、また、対義語の「上げる」についても、本来は理屈は同じはずです。「下す」「下さる」「上げる」については、本動詞として使われる場合と、補助動詞として使われる場合とがあるわけです。たとえば、本動詞としての「下す」にはこんな意味があります。

くだ・す【下す/▽降す】  [動サ五(四)]
1 高いところから低いところへ移す。
①価値・地位などを低くする。「位を―・す」
②流れを利用して、物を下流へ移動させる。「いかだを―・す」
2 中央から地方に派遣する。「使者を―・す」
3 上位の人が下の者に物を与えたり、命令・判断などを与えたりする。「褒美を―・しおく」「判決を―・す」
4 自分ではっきりと判断する。「結論を―・す」「断を―・す」
5 自分で実際に処理する。「手を―・す」
6 (ふつう「降す」と書く)降参させる。従わせる。スポーツや勝負事で相手を負かす。「敵を―・す」

①薬の作用などで、体外へ出す。「虫を―・す」
②(「瀉す」とも書く)下痢をする。「腹を―・す」
8 筆を紙の上におろして書く。執筆する。「筆を―・す」
9 (動詞の連用形に付いて)動作を滞りなく進行させ、一気に終わらせる。「読み―・す」「書き―・す」
10 雨などを降らせる。
「杣山(そまやま)に立つけぶりこそ神無月時雨を―・す雲となりけれ」〈拾遺・雑秋〉
→ goo辞書:「くだす」


本来こういう意味を持っている場合は漢字で書く。そうでない、補助動詞としての「くだす」についてはひらがなで書くとするのが、ま、「見る」「行く」「来る」などと並んで矛盾がなく、落ち着きがいいのですね。ちなみに、補助動詞「くださる」には、こんな意味があります。

2 (補助動詞)「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、その動作の主が恩恵を与える意を、恩恵を受ける者の立場から敬意を込めて表す。「お話し―・る」「ご理解―・る」「助けて―・る」
→ goo辞書:「くださる」





このことは、実は、公用文の書き方として、国が決めていることなのです。ま、決めていると言いましても、例のプロ野球の新人契約金のような、運用に幅のある申し合わせなんですけれど(昭和56年10月1日付け内閣閣第138号内閣官房長官通知別紙の同日付け事務次官等会議申合せ)、ま、こんな具合になっています。

 キ 次のような語句を,( )の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。
       例  こと(許可しないことがある。)
          とき(事故のときは連絡する。)
          ところ(現在のところ差し支えない。)
          もの(正しいものと認める。)
          とも(説明するとともに意見を聞く。)
          ほか(特別の場合を除くほか)
          ゆえ(一部の反対のゆえにはかどらない。)
          わけ(賛成するわけにはいかない。)
          とおり(次のとおりである。)
          ある(その点に問題がある。)
          いる(ここに関係者がいる。)
          なる(合計すると1万円になる。)
          できる(だれでも利用ができる。)
          ……あげる(図書を貸してあげる。)
          ……ていく(負担が増えていく。)
          ……ていただく(報告していただく。)
          ……ておく(通知しておく。)
          ……てください(問題点を話してください。)
          ……てくる(寒くなってくる。)
          ……てしまう(書いてしまう。)
          ……てみる(見てみる。)
          ない(欠点がない。)
          ……てよい(連絡してよい。)
          ……かもしれない(間違いかもしれない。)
          ……にすぎない(調査だけにすぎない。)
          ……について(これについて考慮する。)
 → AIMONのホームページ:「公用文における漢字使用等について


「~てあげる」「~てください」もこの中にありますので、公用文的には漢字で書かないことになります。

ただし、わたしがこの記事の前半に書いた、「補助動詞だからひらがな、本動詞は漢字」という原則は、「見る」「行く」「来る」などにはあてはまりますが、すべての動詞、補助動詞にあてはまるというわけではないことが、これを読むとはっきりとわかります。たとえば、「できる」は本動詞でもひらがな書きということになります。ああ、この「~になります」の「なる」についても、本動詞でもひらがなです。「ある」「いる」などについても同じことが言えますね。

J-CASTの記事になっていた、「下さい」「ください」の使い分けについては、こうして知識を前提に考えると、ま、公的な場面ではどのようにするのが、適当かということは結論がつくかと思います。

しかし、現実的にはそうでもないのです。「~して下さい」という表記がちまたにあふれています。そういう現実の中に、われわれは住んでしまっています。公用文の申し合わせがどうであろうと、現実にはそうなっていないことを経験的に知っているのです。これには理由があるのかもしれまえん。たとえば、「見る」「行く」「来る」ほど意味の混乱がないということが大きいかと思います。「~して下さい」と書いても本動詞の意義をそこに読み取らねばならない状況が、現実的にはほとんど発生しないのでしょう。結果として、「~して下さい」と書いてもなんら取り違えたり混乱したりしない、問題も発生しないという状況、常識が、申し合わせを超える既成事実としてあるのでしょう。

さて、この記事の冒頭のイジワルクイズです。

「皮を剥いてあげようか」というとき、「皮を剥いて上げようか」は漢字書きにしたらどうなるでしょう。本動詞と補助動詞です。「リンゴの皮を剥いて、皮を上げる」と読み取ることも可能になりますね。こんなことしたら、怒られます(これがクイズの答えです)。補助動詞としての「剥いてあげようか」という言い回しが定着しているので、この「あげる」を漢字で書いても大きな混乱は生じないということになっているのですが、漢字とひらがなの書き分けにはこういうこともあるのでしょう。

常識の目ではぜんぜん気にならない「ここで靴を脱いで下さい」と書いてある出入り口の掲示が、人によってはひじょうに気になるということもあるかと思います。それを、神経質、常識知らず、揚げ足取りと言って済ませてよいのかどうかは微妙な問題です。



プチリンク集
「下さい」と「ください」の使い分け(広報Q&A):日本広報協会
「下さい」は、やめて「ください」の巻?(※J-CASTの記事のネタと元)
ちょっと気になる用字用語(公文書などには参考になるかも)
「下さい」と「ください」を正しく使い分けていますか?(実用的まとめ)

COMMENT



2015-03-17-Tue-01:51
なんか既存の出版物でも「~してほしい」を当たり前のように「~して欲しい」と、漢字で書いてるものが多いですよね。
常々おかしいと思っていました。

Re: タイトルなし

2015-03-17-Tue-09:07
コメントありがとうございます。

公用文や教科書の世界の話ですから、それ以前の作家たちや、一般の書物がすべてそれに従っているとは限りませんね。歴史は古いですから。

ご自身が使う目安にしたらいいとは思いますが、ま、貼り紙の文言をいちいち咎める必要はないかと。

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